1回眼科臨床機器研究会

 

日時:20001117日(金)  15:0019:00

会場:パシフィコ横浜会議センター

 

日眼専門医事業認定番号:12745

 

会長 清水 公也(北里大)

プログラム

1)神経繊維解析装置GDx-N            座長/庄司 信行(北里大)

GDxの使い方       金森 充(株式会社ニデック販売営業企画部)

・正常眼網膜神経繊維層の経年変化と糖尿病眼における変化

                                                            富田 剛司(東京大)

GDxによる緑内障の診断                         白柏 基宏(新潟大)


2)ハンフリーOCTスキャナ 光干渉断層計

                                                    座長/市邊 善章(北里大)

OCTの原理と操作        東江 美津子(カールツァイス株式会社)

OCT検査の実際                               飯島 裕幸(山梨医科大)

・黄斑疾患の網膜断層像                             大谷 倫裕(群馬大)

3)角膜形状解析装置 オーブスキャン 

                                                        座長/魚里 博(北里大)

・オーブスキャン 装置の基本と原理   

                                        吉田 照宏(キャノン販売株式会社)

・オーブスキャン 装置の使い方        桝田 浩三(奈良県立医大)

・オーブスキャン データの読み方と臨床応用        田中 俊一(北里大)


1)神経繊維解析装置GDx-N


座長/庄司信行(北里大)


GDx-Nに求めるもの


緑内障の早期診断や経過観察には乳頭や神経繊維層の観察が不可欠である。しかしこれらの観察は検者の主観が大きく影響し、客観的な経過観察を行うことは不可能に近かった。こうした点を解消する意味で大いに期待されるのが神経繊維層解析装置比較による診断や、経過観察における客観的な評価が可能となった。

無論、これのみで緑内障を診断することは不可能であるが、今後の検討によっては視野検査と同等あるいはそれ以上に日常診療に欠かせない機器になる可能性もある。

本研究では、当装置のエキスパートを3名お呼びし、使い方や注意点といった基礎的なことから、これまでの研究結果や今後の可能性などについてもご講演いただき、当装置の有用性や限界なども議論していきたい。


GDxの使い方


講演者:金森 充(株式会社ニデック販売営業企画部) 


GDx(神経繊維解析装置;Nerve Fiber Analyzer)は緑内障の早期発見と経過観察を目的に作られた共集点走査型レーザー検眼鏡装置です。今回の講演では、1.測定析理 2.測定のコツ 3.測定結果及び解析結果の見方について述べたい。

1.     GDxは光源に780mmの波長のダイオードレーザーを用いて、網膜神経繊維層が持つ復屈折の特性を利用して、生体眼において初めて神経繊維層の厚みを測定することを可能にした装置です。

2.     測定は無散瞳(1.5mmの瞳孔径)で0.7秒で65.536ポイントの測定を行います。

3.     測定結果及び解析結果はプリントアウトに眼底像、厚みマップ、TSNITグラフならびパラメータ等を1枚にまとめて表示します。GDxの最大の特徴は日本人の正常者データベースを有していることで、測定と同時に統計解析を行い危険率を3色で表示しますので判定が容易なことです。

最後に、現在開発中の新しい解析方法についても述べたいと思います。


◆正常眼網膜神経繊維層の経年変化と糖尿病眼における変化

講演者:富田 剛司(東京大)


GDxは、網膜に向かって照射されたレーザー光が、網膜神経線維層を経過する際に生じる反射速度の時間差をパラメーターとして、網膜神経線維層の厚みを推定する装置である。本装置の有用性を確認するためには、網膜神経線維層についてこれまでに分かっていることを基準として、本当にそのような計測結果を示してくるのかを検証するのが1つの手段となる。正常眼については、乳頭周囲の網膜神経線維層は、乳頭の右側と鼻側は薄く、上極と下極は厚いことが知られている。また、神経線維の数は年齢とともに低下することが知られている。

本講演では、正常眼での網膜神経線維層の年齢による違いを、GDxのプロトタイプで測定されたデーターを基に検討するとともに、主に緑内障の診断を目的とされているGDxを、他疾患、特に糖尿病眼に対して応用した場合の結果について報告することにより、本装置の有用性について論じる。


GDxによる緑内障の診断

講演者:白柏 基宏(新潟大)

 

緑内障では、視神経乳頭陥凹拡大や網膜神経線維層欠損が起こり、これらの視神経障害に対応した視野障害が生ずる。しかし、緑内障の極早期では、視神経障害所見の出現は、視野障害所見の出現に先行し、ある一定量以上の神経線維が消失した時点ではじめて視野異常の検出が可能となる。神経線維層の検査には、検眼鏡、細隙灯顕微鏡、あるいは眼底カメラなどを用いる方法があるが、検者の主観による定性的または半定量的評価の場合、熟練した検者間においても、検査結果の不一致が少なくない。

近年、種々のレーザー走査眼底観察装置が臨床応用され、その一つであるスキャニングレーザーポラリメータでは、生体眼における神経線維層厚を客観的かつ定量的に測定することができる。

本講演では、本装置を用いた原発開放隅角緑内障眼および正常眼圧緑内障眼における神経線維層厚の解析結果及び神経繊維層検査の緑内障診断における有用性について述べる。


2)ハンフリーOCTスキャナ 光干渉断層計


座長/市邊 善章(北里大)


眼球は丸い。円ではなく球である。今や接触型、非接触型レンズを用いての三次元的な網膜硝子体観察は当たり前になった。しかし網膜内の疾患や網膜硝子体境界面の観察は前述のレンズを用いても困難なことも多い。こんな悩みを解決したのがOCT(Optical Coherence Tomography ハンフリーOCTスキャナ 光干渉断層計)である。今回はOCTの基本的な概要から最新の臨床応用まで三人の演者の方に解説していただく。


OCTの原理と操作

講演者:東江 美津子(カールツァイス株式会社)

 

OCTは、光源であるスーパールミネッセンスダイオードから発振させられた850mmの近赤外線低干渉ビームがビームスプリッタにより2分光され、一方が直接眼内に入り、もう一方は鏡に向かい反射して再びビームスプリッタに戻ります。眼内に入った測定光は眼底各組織毎に異なる強度と時間の遅れを伴って反射し、ビームスプリッタに戻り参照光と合流します。この2つの反射ビームが合流し、重なることで(低干渉ビームの性質上)「干渉現象」が起こり、反射光の強度と時間的ずれを検出することができます。これが空間的位置関係に変換され、反射輝度の強弱が擬似カラー変換され、二次元カラー断層像が構築されます。

OCTアプリケーションはWindows3.1またはWindows98の英語版OS上で作動します。患者データの入力・走査パターンを選択後、モノクロビデオモニタで眼底の走査部位を確認しながら測定ユニットのジョイスティックとフォーカスダイヤルでアライメントを行い、走査部位が決定したところで操作パネルのZ-offsetのダイヤルを回してCRT画面のウィンドウ内にOCT断層像を表示させ、フリーズボタンを押して表示画像をハードディスクに保存します。

また、解析の種類について解説する予定です。


OCT検査の実際

講演者:飯島 裕幸(山梨医科大)

 

OCTに関して、これがレーザー機器であるとの記載が眼科関係の解説書に散見されますが、これは誤りで、本装置にはレーザー光とは全く逆の性質を持つ低干渉光が用いられています。本装置の原理は、光の干渉現象を生じない限界から、ミクロンオーダーの距離測定を行うというものです。

OCT検査にあたっては神経網膜あるいは網膜前の硝子体構造を観察する必要から、良質の画像を得ることを常に心掛けるべきです。良好な条件下では、浮腫のない神経網膜は緑色、黄色、一部赤色で記録されます。よい像を得るためには十分な散瞳、ピント合わせ、ポラリゼーションの調整などが需要ですが、熟練者がすばやい操作で記録して、患者さんを疲れさせないということが最も重要かもしれません。

OCTは超音波のBモード像に類似しますが、その解釈にあたっては、組織からの後方散乱光の相対的な強さが、擬似カラー表示されていることを念頭におけばよいでしょう。暖色系の高反射像を生じる構造としては、細胞が蜜に集合する構造や光の入射に対して直交するような繊維構造などがあります。
網膜の浮腫、黄斑円孔、加齢黄斑変性症などについての画像を供覧して、その解釈について解説する予定です。


◆黄斑疾患の網膜断層像

講演者:大谷 倫裕(群馬大)

 

光干渉断層計(OCT)により、黄斑病変を三次元的に解析することが可能になった。本講演では、糖尿病黄斑浮腫、黄斑前膜、硝子体黄斑牽引症候群、原田病、中心性漿液性網脈絡膜症、裂孔原性網膜剥離などの黄斑部網膜断層像について述べる。

糖尿病黄斑浮腫は、スポンジ様の網膜膨化、嚢胞様 変化、漿液性網膜剥離の3要素の組合せから形成され、硝子体手術後の浮腫の吸収過程が観察できた。浮腫の吸収過程で、一過性に漿液性網膜剥離が増加することがあった。黄斑前膜では、膨化した網膜が、硝子体手術によって徐々に薄くなり、中心窩の陥凹が回復した。硝子体黄斑牽引症候群では、不完全に剥離した硝子体皮質によって黄斑が牽引され、網膜肥厚や網膜剥離が観察された。原田病や中心性漿液性網脈絡膜症では、漿液性網膜剥離と網膜肥厚を合併していた。裂孔原性網膜剥離では、剥離した神経網膜に分離様所見があった。


3)角膜形状解析装置 オーブスキャン

座長/魚里 博(北里大)

角膜の形状解析は屈折検査においてその重要性がますます増大している。従来は角膜の表面形状が主たる検査対象であったが、角膜後面形状や厚み分布を含めた角膜の全形状解析が臨床的に可能となり、屈折矯正手術や白内障手術などで大きく貢献しつつある。

本セッションでは、新しいオーブスキャンの基本原理をキャノンの吉田氏に、眼科臨床での実際的な使い方をORTの枡田氏に、得られたデータの読み方や臨床応用を眼科医の立場から田中先生に解説していただく。


◆オーブスキャン 装置の基本と原理

講演者:吉田 照宏(キャノン販売株式会社)

 

角膜の形状解析には、ケラトメーターやフォトケラトスコープ、そして最近ではビデオケラトスコープが利用されているが、いずれの装置も角膜前面の形状を測定しているに過ぎない。ビデオケラトスコープは、角膜の曲率半径や屈折力の分布をカラーコードマップとして表示することが可能であり、屈折矯正手術や円錐角膜の評価に有効であるが、角膜換算屈折率(1.3375)から角膜全体の屈折力を推定しているため、角膜全体の形状を評価することはできなかった。

角膜形状解析装置オーブスキャン(Orbtek)は、スリット光を角膜に投影し、得られた断層像(40画像)から三角測量法を用いることにより、角膜前面に加え後面の3次元的な形状、角膜厚の分布、水晶体前面形状の評価が可能である。また、各種カラーマップを表示する際には、角膜前面及び後面の3次元的な形状から角膜実質の屈折率(1.376)を用いて演算することで、前面・後面の屈折力や全屈折力の評価が可能となった。

本講演では、オーブスキャンの装置の特徴および測定原理について述べる。


◆オーブスキャン  データの読み方と臨床応用

講演者:田中 俊一(北里大)

オーブスキャンはマイヤー像解析タイプとスリットスキャンタイプの両方を併せ持つ角膜形状解析装置である。臨床的には、円錐角膜などの疾患の角後面を含めた診断や角膜屈折矯正手術の術前術後の評価が可能である。今回、オーブスキャンの基本的なデータの見方を解説し、特に角膜後面の形状変化へ焦点を当て、その臨床結果を報告する。

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第1回眼科臨床機器研究会(2000年11月17 日)

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