第20回眼科臨床機器研究会


日時:202110月16日(土)  15:3018:30

会場:Webライブ配信

 

ジョイント開催:The 24th IRSJ2021

日眼専門医事業認定番号:12745

 

主催 眼科臨床機器研究会

会長 庄司 信行(北里大)

事務局長 飯田 嘉彦(北里大)



プログラム


1)前眼部OCT:アンテリオン            モデレーター:笠原 正行(北里大)

前眼部OCT アンテリオンの特徴       佐藤 萌(ジャパンフォーカス㈱)

アンテリオンの角膜疾患への応用         岡島 行伸(東邦大・大森)

緑内障眼に対するアンテリオンの応用           米山 諒(北里大)

 

2)ZEISS ARTEVO 800                   モデレーター:柳田 智彦(北里大)

アナログからデジタルへ デジタル顕微鏡 ARTEVO 800のご紹介

                小澤 功一カールツァイスメディテック㈱)

ZEISS ARTEVO 800の使用経験                                  河野 雄亮(北里大)

ARTEVO800 OCTの硝子体手術での使用経験 

                                                     山口 大輔たまプラーザやまぐち眼科

 

3)フェイコマシーン最前線                       モデレーター:飯田 嘉彦(北里大)

Cube α の使用経験          植村 明嘉(うえむら眼科クリニック)

WHITESTAR SIGNATURE®PRO の使用経験

                                 増田 洋一郎東京慈恵医大

灌流システムの進化~CENTURIONⓇの評価と使いこなし方

                                                                  鈴木 久晴善行すずき眼科


1)前眼部OCT:アンテリオン

  

                                    モデレーター/笠原 正行(北里大


近年の眼科診療において、光干渉断層計(optical coherence tomographyOCT)は正確な診断や治療効果判定を行う上で、必要不可欠な機器となっております。後眼部OCTは広く普及し、一般のクリニックでも高頻度に用いられております。一方、前眼部OCTは、後眼部OCTほど普及はしておらず、その性能や臨床応用のしかたについては、まだ周知されていない部分も多い機器です。実際には、細隙灯顕微鏡では観察できない部位の評価に有用であり、観察できる部位においても定量化により、より正確な病態把握や進行速度判定、手術適応の判断や治療効果判定を行う上でも有用な機器と考えます。本セッションでは、前半に、前眼部OCTであるアンテリオンの性能についてお話し、後半は、角膜疾患と緑内障疾患への臨床応用の仕方について、2名の先生に詳しく解説して頂く予定です。明日からのより良い診療につながることを期待しております。


◆ 前眼部OCT ハイデルベルグ アンテリオンの特長


講演者:佐藤 萌(ジャパン フォーカス㈱)


2012年 中央産業貿易株式会社(現:ニコンソリューションズ)入社

2016年~2018年 他医療機器業界に従事

2019年 ジャパン フォーカス株式会社 入社

              プロダクトマーケティング部配属、アンテリオン主担当

アンテリオンは、独ハイデルベルグエンジニアリング社が製造開発した前眼部OCTである。Swept-Source光源を採用し、短時間で高精細なデータおよび画像が取得できる。画像診断が主流の昨今、データや画像の精細さは欠かせない要素となっている。

器械の特長としては主に、「4 in 1」と「Multimodal & Upgradable Platform」の二つが挙げられる。

アンテリオンは1台に、角膜形状解析、眼軸長測定/IOL度数計算、前眼部・隅角解析、前眼部画像撮影の機能を備えた「4 in 1」の器械である。1台で複数の検査ができるため、検者、被検者ともに負担の軽減ができる。また、「Multimodal & Upgradable Platform」であるため、必要な機能のみの選択が可能で、将来的に必要になった際は追加ができる。

当日はアンテリオンの機能や特長について詳しく説明する。


◆ アンテリオンの角膜疾患への応用


講演者:岡島 行伸(東邦大学医療センター大森病院)


2001年 東邦大学医学部卒業

2008年~ 西横浜国際総合病院医長

2012年~ 東邦大学医療センター大森病院 助教

ANTERION🄬は前眼部解析に特化したSwept-Source OCTで高速な検査と細部にわたって鮮明で精密な画像を提供でき、固視微動に影響を受けず再現性の高いデータを取得することが可能である。従来型のOCTよりも組織深達性が高く、混濁、炎症部位を透過した画像が取得可能であり角膜のみならず、隅角、虹彩、水晶体の断面形状をさまざまなアプリケーションを組み合わせることで総合的に解析することで細隙灯顕微鏡では観察できる部位はもちろん、観察できない部位の状態を客観的にとらえることが可能となる。実際の臨床現場では、円錐角膜のスクリーニング・クロスリンキング等の治療適応・効果の判定、感染性角膜炎の診断・治療効果判定、角膜移植術後の経過などの前眼部疾患への有用性について。また本機の新たな可能性として欧米で処方されている特殊コンタクトレンズについて実際に経験した症例について述べる。


◆ 緑内障眼に対するアンテリオンの応用


講演者:米山 諒(北里大)


2013年 北里大学医学部 卒業

2015年 北里大学病院 眼科学教室入局

2017年 海老名総合病院 出向 

2018年 北里大学病院眼科 

2019年 眼科専門医取得

2021年 北里大学病院眼科 助教

光干渉断層計(optical coherence tomographyOCT)の進歩と普及は目覚ましい。現在では網膜硝子体や緑内障といった後眼部疾患の診断にはほとんど必須といえよう。一方で前眼部に特化した前眼部OCTもまた進歩し、2005年に商用化されて以降、特にSwept source方式によるOCTでは短時間に高解像度の画像を取得することができるようになった。角膜・白内障・眼内レンズ・隅角・濾過胞等を評価し、様々な画像所見やパラメータを得ることができる。今回は前眼部OCTであるアンテリオンを用いて、緑内障に焦点を当てた。狭隅角や、MIGS・トラベクレクトミー・チューブシャント術などの緑内障手術後において、アンテリオンにより得られる画像および有用性について述べる。


2ZEISS ARTEVO 800


モデレーター/柳田 智彦(北里大)


ZEISSARTEVO 8003Dモニターを見ながら手術を行う、ヘッズアップ手術用のデジタル顕微鏡です。外眼部から硝子体手術まで、すべての眼科手術を行うことができ、現在、徐々に普及しつつあるシステムです。

 実際に使用してみると、手術手技や操作に関して、従来の顕微鏡手術から移行するハードルは殆どなく、手術自体がやり易くなることから、将来的には多くの術者が、顕微鏡を覗くことなく3Dモニターで手術をするようになる可能性があると思います。

 この講演では3名の演者をお招きし、カールツァイスメディテックの小澤功一さんには機器の詳細について、北里大の河野雄亮先生にはARTEVO 800で緑内障手術を行った使用経験を、たまプラーザやまぐち眼科の山口大輔先生には、硝子体手術はもとより、その他の手術でも日常的に用いられているとのことで、エキスパートとしての使用経験をお話ししていただくことになっています。


◆アナログからデジタルへ デジタル顕微鏡 ARTEVO800のご紹介


講演者:小澤 功一(カールツァイスメディテック


2008年 カールツァイスメディテック株式会社 入社

2008年~2014

 Ophthalmic systems division, Product manager

2014年~2017

 Surgical ophthalmology division, Product manager

2017年~現在 Head of Marketing

 コンピュータ技術の発展に伴い、眼科手術においてもデジタル技術を用いた術中の状況判断が可能となりました。OCT内蔵顕微鏡やプレミアムIOL手術をアシストするガイダンス機能はその代表的なものになります。またアナログからデジタルへの変革のひとつとして、近年網膜硝子体手術におけるヘッズアップシステムが取り上げられることが多くなりました。ヘッズアップ手術はデジタル技術により鮮明な画像、良好な立体感や焦点深度を得ることができ、従来の手術顕微鏡よりも低照明な手術、高倍率手術が可能になりました。

 デジタル顕微鏡 ARTEVO800は、4Kカメラ2基を顕微鏡ヘッドに内蔵し、55インチ4Kモニターで3D立体手術映像を映し出します。遅延が少ないシステムであるため、網膜硝子体手術だけではなく、前眼部手術の臨床使用でもご評価をいただいております。本セミナーではデジタル顕微鏡 ARTEVO800の特長をご紹介します。


◆ ZEISS ARTEVO 800 の使用経験


講演者:河野 雄亮(北里大)


2012年 北里大学医学部 卒業

2014年 北里大学病院 眼科学教室入局

2017年 東芝林間病院

2018年 北里大学病院眼科

2021年 北里大学大学院 医療系研究科 博士課程修了


Heads-up surgeryHUS)は、優れた解像度と卓越した被写界深度を実現した3Dデジタル映像を用い、従来の顕微鏡下手術では実現できない超低照度で手術を行うことができる。患者・オペレーター双方に低侵襲であると共に、固視が悪い患者の固視がしやすくなり、手術時間を短縮させる効果があるとされている。また、OCTや検査データをモニターに映し出すことも可能であり、様々な手術への応用が期待される。加えて、オペレーターと全く同じ術野を共有できるため、研修医や学生教育における利点も大きい。

近年、HUSを使用した白内障や硝子体手術において、手術手技の難度や成績は従来の顕微鏡下手術と比較しても遜色がないことが報告されているが、緑内障手術に関する報告は少ない。今回、当院におけるHUSを使用した濾過手術と流出路再建術の使用経験を実際の動画を供覧しながら解説したい。


ARTEVO800 OCTの硝子体手術での使用経験


講演者:山口 大輔(たまプラーザやまぐち眼科)


20033月 山形大学医学部卒業

20034月 東京女子医大病院 消化器外科

20084月 昭和大学東病院 眼科

20095月 昭和大学藤が丘病院

  (昭和大学藤が丘リハビリテーション病院)眼科

20154月 上白根病院 眼科

20195月 たまプラーザやまぐち眼科開業

当院は20195月に開業し、2年間で計1,984件の手術を行っている眼科医院である。その主な内訳は水晶体再建術1,226件、眼瞼下垂手術369件、霰粒腫摘出術214件、硝子体手術62件、涙管チューブ挿入術28件、眼内レンズ交換25件、強膜内固定術9件などで、白内障手術が多くを占めるが、外眼部手術や網膜硝子体手術まである程度幅広く手術を行うことが当院の特徴と考えている。手術顕微鏡は当初、Zeiss社のLumera700を使用していたが、20212月に、同じくZeiss社から新しく発売されたheads-up surgery用のデジタル顕微鏡ARTEVO800 OCTへ変更した。ARTEVOは鏡体内に高解像度4Kカメラ2基を内蔵し、医療用55インチ4Kモニターで3D立体手術映像を映し出す完全一体型のデジタル顕微鏡である。術中OCT機能も搭載され、55インチ3Dモニターの端に術中画像と同時にOCT画像を表示することが可能である。当院でARTEVOを導入してから行った22件の硝子体手術について実際どのように臨床応用しているか、その使用感などについて述べる。


3フェイコマシーン最前線


モデレーター/飯田 嘉彦(北里大)


2009年の第10回眼科臨床機器研究会で「新しいフェイコマシーン」というタイトルでフェイコマシーンを取り上げましたが、それから10年以上の月日が経過し、フェイコマシーンの世代交代が進んでいます。各社、新しいテクノロジーを取り入れ、効率的かつ低侵襲で安全な手術が行えるようになってきています。

現在のフェイコマシーンは非常に高性能になったため、普通に何気なく使用していても大きなトラブルなく白内障手術を完遂することが可能でしょうし、それは高性能化した恩恵の一つであると思いますが、機器の特徴を理解し、その能力を引き出すように使いこなせるとさらに手術の完成度が高まっていくことでしょう。

今回は、最新のフェイコマシーン3機種を取り上げ、それぞれの機種について経験豊富な先生方をお招きし、それぞれの機器の特徴と使用経験や使いこなし方などについて御講演いただきます。本セッションが明日からの白内障手術のスキルアップにつながることを期待しております。


◆ Cube α の使用経験


講演者:植村 明嘉(うえむら眼科クリニック)


1996  京都大学医学部 卒業

1996  京都大学医学部附属病院眼科 研修医

1997  田附興風会北野病院眼科 研修医

1999  京都大学大学院医学研究科 博士課程

2003  理化学研究所発生再生科学総合研究センター

    研究員

2007  神戸市立医療センター中央市民病院眼科 副医長

2009  神戸大学大学血管生物学分野 特命助教

2014  名古屋市立大学網膜血管生物学寄附講座 教授

2020  うえむら眼科クリニック 院長

             名古屋市立大学視覚科学客員教授(兼任)

             愛媛大学プロテオサイエンスセンター客員教授(兼任)

             国立循環器病研究センター細胞生物学客員部長(兼任)

本講演ではニデック社白内障手術装置 Cubeαの使用経験を紹介する。私は20205月に兵庫県西宮市で開業し、これまでにCubeαを用いて約300例の日帰り白内障手術を行った。勤務医時代に網膜・硝子体領域を専門としていた私は、主にベンチュリーポンプを搭載した白内障・硝子体手術装置のコンバインドモデルを使用していた。一方、Cubeαのようなペリスタルティックポンプ搭載白内障専用コンパクトモデルを使用する機会はほとんどなかった。開業にあたって各社装置を試用した中で、Cubeαの力強く安定した吸引ポンプと、トーション機能には大きな魅力を感じた。さらに初期費用やランニングコストの点においても申し分なかった。Cubeαを1年余り使用して、核硬化が進んだ症例でも設定を変えることなく安全に手術を終えることができ、コストパフォーマンスも申し分ない。今回は手術動画を交えながらCubeαの魅力をお伝えしたい。


◆ WHITESTAR SIGNATURE🄬PROの使用経験


講演者:増田 洋一郎(東京慈恵医大)


1997 東京慈恵会医科大学 医学部卒業

1999 東京慈恵会医科大学 眼科学講座助手

2006 米国スタンフォード大学 客員研究員

2012 東京慈恵会医科大学 眼科学講座講師

Johnson & Johnson社のWHITESTAR SIGNATURE® PROの大きな特徴はそのポンプシステムと超音波発振システムにある。Rotary Vane (Venturi) PumpPeristaltic Pumpを搭載し、術中のモード設定で2つのポンプのどちらかを選択することができるため、バラエティある術者の術式におけるニーズに対応できる。また、超音波発振システムであるELLIPS® FXフェイコハンドピースは、縦方向と横方向に同時発振し、8の字を描きながらチップが動くため、核破砕力を向上させることができる。本講演では実際の白内障手術におけるWHITESTAR SIGNATURE® PROの使用経験を述べてゆきたい。


◆ 灌流システムの進化~CENTURION®の評価と使いこなし方~


講演者:鈴木 久晴(善行すずき眼科)


2001年 日本医科大学医学部卒業

2003年 日本医科大学眼科学教室 助手

2006年 神栖済生会病院眼科 医長

2010年 日本医科大学眼科学教室 医局長・病院講師

2011年 日本医科大学武蔵小杉病院眼科 医局長・講師

2012年 日本医科大学武蔵小杉病院眼科 部長

2016年 日本医科大学武藏小杉病院眼科 准教授

2018年 善行すずき眼科院長、日本医科大学非常勤講師

超音波白内障手術において、眼内への水の出し入れに伴い前房内の圧力は大きく変化する。前房の中に水を供給するために、灌流ボトルをポールに吊り下げて重力による受動的灌流システムが一般的であった。しかし近年、二枚の板によって灌流パックを押し出す能動的灌流システムであるActive Fluidics TMAlcon)を登載したCENTURION®Alcon)が登場した。このシステムは本体にある灌流圧センサーによって前房内圧の変化を感知して水を送り出していた。しかし、前房環境の変化から水を送りだすまでに多少のタイムラグが生じていた。これに対して、より眼球に近い超音波ハンドピースに灌流圧センサーを内蔵したACTIVE SENTRY®ハンドピース(Alcon)の登場により、眼内圧の変化に対してより早く反応できるようになった。今回の講演では、これらの灌流システムを細隙灯顕微鏡によって術中の前房環境を評価するシステムSlit Side Viewを使って視覚的に評価し、実際の臨床における、より低侵襲で効率の良い手術を提案する。


展示機器(WEB)のご紹介



株式会社 JFCセールスプラン

/ジャパンフォーカス 株式会社


前眼部OCT

 ハイデルベルク アンテリオン


カールツァイスメディテック

         株式会社


デジタル顕微鏡ARTEVO800




株式会社 ニデック


眼科手術装置

  CV-9000 (Cube α )



エイエムオー・ジャパン

          株式会社


VERITAS🄬ビジョンシステム



日本アルコン 株式会社


CENTURION


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第20回眼科臨床機器研究会(2021年10月16日)

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