第19回眼科臨床機器研究会
日時:2019年11月9日(土) 15:30~18:30
会場:TKPガーデンシティPREMIUM横浜ランドマークタワー
ジョイント開催:The 23rd IRSJ(2019)
日眼専門医事業認定番号:12745
主催 眼科臨床機器研究会
会長 庄司 信行(北里大)
事務局長 飯田 嘉彦(北里大)
第19回眼科臨床機器研究会
日時:2019年11月9日(土) 15:30~18:30
会場:TKPガーデンシティPREMIUM横浜ランドマークタワー
ジョイント開催:The 23rd IRSJ(2019)
日眼専門医事業認定番号:12745
主催 眼科臨床機器研究会
会長 庄司 信行(北里大)
事務局長 飯田 嘉彦(北里大)
プログラム
1)隅角画像検査の長所と限界 モデレーター:笠原 正行(北里大)
・ゴニオスコープ GS-1 360°隅角カラー撮影の原理と使用方法
濱口 浩二(㈱ニデック)
・ゴニオスコープの使用経験 松尾 将人(島根大)
・CASIA2の臨床応用 辻沢 辰彦(北里大)
2)Swept Source OCT Triton モデレーター:柳田 智彦(北里大)
・Swept-source OCTの開発の四方山話 秋葉 正博(㈱トプコン)
・SS OCT TritonのGlaucoma解析 鈴木 英晴(㈱トプコン)
・Swept Source OCT Tritonの使用経験 春木 崇宏(北里大)
3)IOL Update モデレーター:飯田 嘉彦(北里大)
・ Dysphotopsia 五十嵐 章史(山王病院アイセンター・国際医療福祉大)
・インジェクターの多角的評価-Clareon®AutonoMe®-
早田 光孝(昭和大学藤が丘リハビリテーション病院)・LENTIS comfort 根岸 一乃(慶応義塾大学)
1)隅角画像検査の長所と限界
モデレーター/笠原 正行(北里大)
緑内障診療において、診断や治療方針を決める上で隅角観察が必要不可欠であることは言うまでありません。一方で、隅角鏡検査は少なからず侵襲を伴う検査でもあり、患者の受けるストレスはいつも気になっております。また、熟練するまでは検者間でスケッチに相違が生じてしまうことや、スケッチ自体の手間は忙しい外来を行う眼科医には大きな負担となっていると考えます。そんな問題を少しでも解消すべく、近年、いくつかの隅角検査機器が登場しております。本セッションでは、前半に360度の隅角カラー画像が取得可能なゴニオスコープGS-1(株式会社ニデック)について2人の先生にご講演頂きます。後半は、角膜の状態が悪く眼内の透見が困難な症例、狭隅角・閉塞隅角の定量的な評価、MIGS前後の評価など、さまざまな使い方が期待されるCASIA2(株式会社トーメーコーポレーション)についても解説頂く予定です。明日からのより良い緑内障診療につながることを期待しております。
講演者:濱口 浩二(㈱ニデック)
2006年 豊橋技術科学大学大学院
機械システム工学専攻修了
2006年 株式会社ニデック 医療開発部配属
隅角検査は緑内障の分類/治療方針を決めるためや、ぶどう膜炎の患者様に対して重要な検査であることはもちろんですが、近年登場したMIGSデバイスの普及によりこれまで以上に検査の頻度が高くなっているのでないでしょうか。
隅角検査は一般的に隅角鏡とスリットランプを用いて眼科医の手によって実施されますが、実施者間の差異や、検査の再現性、画像データとして残すことの困難さの問題があります。
ゴニオスコープGS-1は隅角部位を撮影する専用装置として隅角全周領域を16枚のカラー画像として取得します。専用ゲルによる接眼システムの採用により角膜を圧迫しない状態での撮影を実現するとともに、トラッキング機能による位置合わせを行うことで撮影の再現性を高めています。
本研究会では、国内で2018年12月に発売された本装置の基本原理、性能を中心に装置の特徴について紹介させていただきます。
◆ ゴニオスコープの使用経験
講演者:松尾 将人(島根大)
2011年 防衛医科大学校卒業
2012年 初期研修
(防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院)
2014年 後期研修(松江赤十字病院眼科)
2015年 島根大学医学部医学系研究科博士課程
(眼科学講座)入学
後期研修(島根大学医学部付属病院眼科)
2018年 岐阜薬科大学薬効解析学研究室 特別研究学生
後期研修修了、眼科専門医取得
2019年 島根大学医学部医学系研究科博士課程(眼科学講座)卒業
島根大学医学部眼科学講座 臨床助教
緑内障は、本邦の視覚障害原因の第1位であり、年齢とともにその有病率は上昇するため、高齢化の進む本邦では、今後さらに失明予防対策の強化が望まれる難治性眼疾患である。眼圧上昇が緑内障の発症と進行の重要なリスクファクターであるが、緑内障には様々な病型が存在し、その病型ごとに眼圧上昇機序が異なるため、緑内障診療において詳細な隅角の観察は必要不可欠である。一方で、隅角鏡検査の検査手技自体の煩雑さ、画像としての記録の困難さは、多くの眼科医が感じるところであった。ゴニオスコープ GS-1Ò(Nidek Co., Ltd.)は、眼科医以外の手によっても短時間かつ容易に隅角全周の同時撮影・記録を可能にしたはじめての機器である。これにより、忙しい臨床現場においても、普段から隅角全周を画像化することで、より客観的なデータに基づく的確な診療が可能となる。本講演では、ゴニオスコープ GS-1Òの長所と限界について、自験例をもとに解説する。
講演者:辻沢 辰彦(北里大)
2012年 北里大学医学部 卒業
2014年 北里大学病院 眼科学教室入局
2016年 東芝林間病院 出向
2017年 海老名総合病院 出向
2017年 北里大学大学院 医療系研究科 眼科学教室 入学
緑内障領域における前眼部の画像解析には、光干渉断層計(OCT)や超音波生体顕微鏡(UBM)を用いられることが一般的である。これまでの活用法として多いのは、原発性、続発性の閉塞隅角の診断およびスクリーニングである。中でもCASIA2(トーメーコーポレーション)は短時間で非侵襲的かつ簡便に観察、定量化が可能であり、中心前房深度(anterior chamber depth:ACD)や強膜岬から500μm前方の角膜後面と虹彩の距離(angle
opening distance 500μm:AOD500)等を用いた狭隅角の評価、虹彩膨隆度(iris convexity:IC)による相対的瞳孔ブロックの評価など、機器を使用したさまざまな報告がある。本講演では、これまでに行われてきた狭隅角眼や閉塞隅角眼に対するCASIA2の活用法を既報や自験例を交えて紹介したい。また、Trabeculectomy後の濾過胞内部の観察や、新しい試みとして、開放隅角眼に対するMinimary invasive glaucoma surgery(MIGS)前後の活用法についても考えていきたい。
2)Swept Source OCT Triton
モデレーター/柳田 智彦(北里大)
第2部ではTOPCON社の最新機種で、広く普及しているOCT Tritonを取り上げました。この機器はSwept source方式が用いられおり、それによってより高精細で鮮明な画像を得られるようになりました。従来のSpectral domain方式から新たな方式に替わったことに加え、画像解析や網脈絡膜血管を描出する技術も進歩したものが搭載されています。
このセッションでは3人の演者に講演していただきます。まず最初に、Tritonの開発秘話をR&D本部の秋葉正博氏にお話ししていただきます。また臨床において後眼部OCTは主に緑内障と黄斑疾患で用いられていますが、緑内障に関しては、アイケア事業本部の鈴木英晴氏に、視神経乳頭の形状変化を解析するソフトウェアについて、黄斑疾患に関しては、北里大の春木崇宏先生に、OCT angiographyも含めた使用経験を講演していただくことになっています。
講演者:秋葉 正博(㈱トプコン)
1999年 山形県テクノポリス財団
地域結集型共同研究事業研究員
2007年 ㈱トプコン入社 米国研究室(TABIL)
Chief
Research Scientist
2014年 理化学研究所 光量子工学研究領域
眼疾患クラウドチーム(兼務)
2018年 ㈱トプコン R&D本部R&D企画部 上席部長
眼底診断用スペクトラルドメインOCT装置が2006年に発売されて以来、臨床用OCT装置の普及が急速に進んだ。従来のOCT装置と比較して計測感度を維持しつつも50倍高速になり、眼底の3次元計測を可能とした。その結果、網膜内の組織厚マップの抽出が可能となり、定量化指標としての応用が広がった。スペクトルドメインOCT装置の臨床応用と並行して、学術界では密かに第三の検出方式であるスエプトソース(SS)
OCTの研究開発も進められていた。SS-OCTを実現するためには高速で広帯域に波長掃引が可能な光源の開発のみならず、デジタル化を行う信号処理系など複数の技術要素の達成事項が必要であった。一方、長波長帯域を用いた高い組織深達度のみならず、より高速撮影の見込みなど、臨床方面からも高い期待が込められていた。本講演では、SS-OCTを実現するにあたり、学術界においてどのような困難があったのかを解説し、産業界でいち早く実証した眼底診断用SS-OCT装置を紹介する。
◆ SS OCT Tritonの Glaucoma解析
講演者:鈴木 英晴(㈱トプコン)
1983年 東京光学株式会社(現㈱トプコン)入社
1990年 Topcon Singapore
PTE.LTD Manager
2001年 Topcon Medical
Japan 営業本部長
2010年 Topcon Medical
Laser Systems INC.CEO
2012年 ㈱トプコンEye Care
Company 商品企画部長
2019年 ㈱トプコン アイケア事業本部
アイケア業務管理部
緑内障は日本人における視覚障害の原因疾患の第1位となっている。日本緑内障学会が実施した疫学調査によると40歳以上の20人に一人が緑内障と推定され、しかもその9割の方がそれに気が付いていないとのデータがある。この緑内障を発症しながら無自覚である患者様を早期に発見し早期に治療を開始する為には、OCTによる画像解析が大きな役割を担う。
本講演ではこの緑内障の早期発見を促す様なソフトウェア紹介や臨床データ、最近の文献の事例等を交えて、Swept Source OCT Tritonの臨床応用例を紹介してゆく。
◆ Swept Source OCT Tritonの使用経験
講演者:春木 崇宏(北里大)
2008年 北里大学医学部卒業
2010年 北里大学病院眼科
2013年 海老名総合病院眼科
2015年 北里大学病院眼科
2018年 北里大学病院眼科助教
Tritonは従来のSpectral domain方式とは異なり、照射する光波長を変化させることができる特殊光源を使用し、分光器を用いずにデータを取得することが可能なSwept Source方式を採用したOCTである。1050nmの長波長光源を採用することで組織深達性が増し、中間透光体の影響を受けにくく、硝子体、網膜、脈絡膜をより明瞭に、高速で撮影することが可能となった。
光源に使用される光は眼には見えないため、被検者の注視が持続しやすく、検査時間の短縮や撮影効率の向上により被検者や検者の負担が少ない。
また、造影剤を使用することなく網脈絡膜の血管構造を画像化するOCT angiographyを撮影することも可能であり、日常診療において有用性が高い検査機器と言える。
今回は、その使用経験について述べる。
3)IOL Update
モデレーター/飯田 嘉彦(北里大)
白内障手術の際に欠かせない眼内レンズ(以下IOL)は、水晶体摘出後の代用レンズとしての役割から、術後の良好な視機能の獲得を目指して高機能化し、またfoldable IOLを挿入するためのインジェクターは小切開白内障手術を可能にし、惹起乱視などの術後視機能への影響の改善にも寄与しています。一方で高機能化したIOLでは光学的な不具合を自覚するケースも報告されており、症例に応じた適切なIOLの選択が求められています。
本セッションでは進化し続けるIOLの話題に着目し、高機能化の弊害の一つであるDysphotopsiaについて五十嵐先生に、新しいコンセプトのインジェクターであるAutonoMe®の多角的な評価を早田先生に、従来の単焦点・多焦点IOLと異なる光学特性をもつLENTIS®Comfortの特徴について根岸先生に解説して頂き、IOLの選択について様々な側面から考えてみたいと思います。
◆ Dysphotopsia
講演者:五十嵐 章史(山王病院)
2003年 北里大学医学部卒業
北里大学眼科教室入局
2014年 北里大学眼科 診療講師 に任用
2015年 北里大学眼科 講師 に任用
2016年 山王病院アイセンター眼科部長、国際医療福祉大学准教授 に任用
1940年代にRidleyがPMMA製の人工眼内レンズ(以下IOL)を移植したことから白内障手術におけるIOL挿入の歴史は始まった。当初は水晶体の代わりとしてある程度焦点が合うようにする目的であったが、近年では非球面、乱視矯正、多焦点といったIOLの高機能化により、良好な裸眼視力を獲得する屈折矯正手術としての意味合いが強くなってきている。一方、白内障術後にまぶしい、周辺に三日月のような影がみえて気分が悪いという不満を訴える患者を臨床の場で散見する。これらの症状はDysphotopsiaとよばれ、前者をPositive Dysphotopsia、後者をNegative Dysphotopsiaと分けられる。近年光学実験などによりその原因が主にIOLの性状であることが明らかになってきたが、皮肉にもIOLの高機能化による弊害といえる。本講演では臨床的に生じるDysphotopsiaの発生頻度、リスクファクターを示し、その成因と対処方法について解説する。
◆ インジェクターの多角的評価-Clareon®AutonoMe®-
講演者:早田 光孝
(昭和大学藤が丘リハビリテーション病院)
1999年 昭和大学医学部卒業
昭和大学付属東病院眼科入局
2000年 太田熱海病院眼科
2001年 昭和大学第一薬理学教室
2003年 昭和大学豊洲病院眼科
2004年 昭和大学藤が丘病院眼科 助手
2012年 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院眼科 講師
2018年 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院眼科 准教授
近年の白内障手術は小切開が主流であり、それに伴い手術機器、デバイス、眼内レンズなど周辺機器の開発も進んでいる。眼内レンズをインジェクターで挿入することは小切開白内障手術にもマッチングしており、より安全で使いやすいインジェクターの開発が、各社で盛んにおこなわれている。近年開発されたClareon®AutonoMe®は、炭酸ガス駆動により、レバーを押すだけでプランジャーが自動的に前進し、眼内レンズを挿入することができる新しいコンセプトのインジェクターであり、プリロード型かつディスポサーブルであることも特徴である。本講演では多数の臨床経験からAutonoMe®の性能、操作性、安全性などについて多角的に評価した内容をお示しするとともに、実際に使用するにあたっての注意点、臨床的なコツについても紹介したい。
◆ LENTIS® comfort
講演者:根岸 一乃(慶応義塾大学)
1988年 慶應義塾大学医学部卒業・同眼科学教室入局
1995年 国立埼玉病院眼科医長
1998年 東京電力病院眼科科長
2001年 慶應義塾大学眼科学教室専任講師
2007年 慶應義塾大学眼科学教室准教授
2017年 慶應義塾大学眼科学教室教授
LENTIS®Comfort (参天製薬)は+1.5D加入の中間視用ゾーンをもつ低加入度数分節眼内レンズであり、従来型の単焦点眼内レンズや回折型焦点深度拡張眼内レンズ、あるいは各種多焦点眼内レンズと異なる光学特性をもつ。本講演では、LENTIS®Comfort の光学特性と他のレンズとの違い、臨床成績について自験例を交えて概説する。
展示機器のご紹介
株式会社
ニデック
ゴニオスコープ GS-1
株式会社
シード
トリガーフィッシュ システム
株式会社
トプコンメディカルジャパン
3次元眼底像撮影装置 DRI OCT Triton
株式会社
トーメーコーポレーション
前眼部 OCT CASIA2
参天製薬
株式会社
レンティスコンフォート®
LENTIS® comfort
株式会社 JFCセールスプラン
/ジャパンフォーカス株式会社
前眼部 OCT
ハイデルベルク アンテリオン
株式会社
ニコンヘルスケアジャパン
超広角走査型レーザー検眼鏡
Califorinia