17回眼科臨床機器研究会


日時:20171021日(土)  15:3018:30
会場:横浜シンポジア


ジョイント開催:The 21th IRSJ2017
日眼専門医事業認定番号:12745


主催 眼科臨床機器研究会
会長 庄司 信行(北里大)


プログラム



1)スポットビジョンスクリーナー             モデレーター後関 利明(北里大)

スポット™ビジョンスクリーナーの特徴とその有効な活用方法

                                                  安城 菜緒(ウェルチ・アレン・ジャパン㈱)

乳幼児に対するスポット™ビジョンスクリーナーの有用性

                                                        仁科 幸子(国立成育医療研究センター)

3歳児集団健診で導入した手持ち型オートレフラクトメータの効果

                                                              尾上 泰弘(田川市立病院 小児科)


2)レーザースペックルフローグラフィー    モデレーター柳田 智彦(北里大)

・緑内障におけるLSFGの有用性                                      江黒 友春(北里大)

・視神経疾患の診断におけるLSFGの有用性            前久保 知行(眼科三宅病院)

・網脈絡膜疾患への臨床応用             松本 直(東邦大学医療センター大森病院)


3)Minimally Invasive Glaucoma Surgery(MIGS):臨床成績と手技のコツ

                                                              モデレーター/松村 一弘(北里大)

・トラベクトーム手術の長期成績                                     笠原 正行(北里大)

iStent の使用経験と短期成績                                  栗原 勇大(山王台病院)

・マイクロフックab internoトラベクロトミー        谷戸 正樹(松江赤十字病院)



1)スポットビジョンスクリーナー

  

モデレーター/後関 利明(北里大学医学部)
 
本邦、眼科領域では20159月からスポット・ビジョンスクリーナー(SVS)の使用が可能となりました。現在SVSは、小児眼科診療、小児健診等での使用で注目を得ていますが、屈折のみでなく、眼位、瞳孔径の測定が可能なため、将来的にはさらに活躍の場が広がることが予想されます。現在の眼科診療では屈折を自動で測定するオートレフメータは必須の機器です。しかしながら、オートレフにはいくつかの欠点があります。顎台に顔を乗せる、機械の接近に伴う器械近視、オーバースキアができないなど。その全てを解消できる機器としてSVSは登場しました。SVSにも測定に関する光学的問題などからいくつかの欠点もありますが、それを差し引いても価値が高い機器です。本公演では立場の異なる3人演者に講演をお願いしました。開発元ウエルチ・アレンの安城菜緒様、眼科医である国立成育医療研究センターの仁科幸子先生、小児科医である田川市立病院の尾上泰弘先生の3人です。本公演を通してSVSが皆様方の今後の診療にお役立てになればと思っています。


◆ スポットTMビジョンスクリーナーの特徴とその有効な活用方法


講演者:安城 菜緒(ウェルチ・アレン・ジャパン㈱)


2000  中央大学総合政策学部 卒業

2008  ウェルチ・アレン・ジャパン㈱入社

2015  Cornell SC Johnson College of Business,

                                     Marketing course終了


スポットビジョンスクリーナー(以下略:SVS)は本国のアメリカでは2014年に、日本では20157月(眼科領域では9月)に発売された。6ヶ月以上の乳幼児から大人までの視機能上の問題を迅速に、かつ正確に検知することをサポートするために開発された、持ち運びやすい携帯型ビジョンスクリーナーである。その簡単で使いやすい操作性、感度・特異度の高さなどから発売当初より世界中で高い評価を受け、現在では多くの学術論文も国内外で発表されているが、なぜこれだけ全世界的に広まるようになったのか、その特徴と日本での使用状況、海外での多岐にわたる活用方法について、実際の事例を検証しながら報告する。


◆ 乳幼児に対するスポットビジョンスクリーナーの有用性


講演者:仁科 幸子

(国立成育医療研究センター眼科・視覚科学研究室)



1989    慶應義塾大学医学部卒業 眼科学教室入局

1990    川崎市立川崎病院眼科

1992    国立東京第二病院眼科

1994    国立小児病院眼科

2001    学位取得

2002    国立成育医療センター眼科

2015年~国立研究開発法人 国立成育医療研究センター眼科)


小児の視覚は発達途上にあり、視覚刺激の遮断に対する感受性が高い。良好な視力と立体視を獲得するために、特に感受性の高い03歳に発症する眼疾患、斜視、強度屈折異常は、可及的早期に発見して治療の適否を判断する必要があるが、この時期に危険因子を的確に検出することは容易ではない。スポットビジョンスクリーナー(Spot)は、乳幼児の視覚スクリーニング機器として、健診及び様々な疾患背景をもつ小児の眼科診療に応用可能である。年少児の屈折値の精度は劣るが、両眼開放下で簡便に施行可能であり、検査成功率が高いことが最大の利点である。顕性斜視の検出や眼疾患治療後の屈折矯正を検討する際にも利用価値が高い。実例を提示しながらSpotによる乳幼児の視機能管理の可能性と限界について解説したい。


3歳児集団健診で導入した手持ち型オートレフラクトメータの効果


講演者:尾上 泰弘(田川市立病院小児科)


1992  九州大学医学部卒業、九州大学小児科入局

             九州大学病院小児科研修医

1993  福岡市立こども病院・感染症センター研修医

1994  唐津赤十字病院小児科医師

1995  九州厚生年金病院小児科医員

2000  九州大学大学院医学研究院修了 学位修得

             県立宮崎病院小児科副医長

2002  北九州市立医療センター小児科医師

2006  国立病院機構小倉病院(現小倉医療センター)小児科医長

2016  田川市立病院小児科医長


日本では生後初めての視力検査は3歳児健診で行われ、弱視予防の大切な機会とされている。しかし、多くの自治体では保護者が自宅で絵カードを用いて検査するため、一部の子ども達は屈折異常に気づかれず、治療のタイミングが就学時まで遅延することがある。少数の自治体では据え置き式レフラクトメータを導入して精度を上げているが、様々な要因で多くの自治体では採用されていない。最近、手持ち式レフラクトメータが改良され、離れた位置から数秒で簡単に屈折異常のスクリーニングを行うことが可能になってきた。3歳児健診で手持ち式レフラクトメータを導入した田川市保健センターを例に、新しい時代の乳幼児視覚検査の方向性について報告する。


2レーザースペックルフローグラフィー


モデレーター/柳田 智彦(北里大学医学部)

レーザースペックルフローグラフィー(LSFG)は眼底に830nmの近赤外光レーザーを照射し、血管内の赤血球による反射光からできる斑点模様(スペックルパターン)を血流マップとして構成することで、非侵襲的に眼底の血流動態を解析する装置です。

 LSFGを用いて、緑内障や視神経疾患、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症といった視神経乳頭部や網脈絡膜の血流に異常をきたす病気について、1990年代から基礎研究や臨床研究が行われてきており、様々な病態における眼底血流の様相が解明され、大きな成果が上がっています。

 現在のところ、一般の臨床機器として広く普及するような装置ではありませんが、眼底疾患の病態を理解する上で非常に有用な機器と思われます。今回は緑内障、視神経疾患、網脈絡膜疾患について3名のエキスパートの先生方をお招きし、LSFGの臨床応用について講演していただくことになっています。


◆ 緑内障におけるLSFGの有用性


講演者江黒 友春北里大


2007年 山梨医科大学医学部卒業

2009年 北里大学病院眼科

2012年 東芝林間病院眼科

2014年 大和市立病院眼科

2017年 北里大学医学部眼科 助教

レーザー光を生体組織に照射すると、組織中の赤血球により反射散乱された光が干渉しあってランダムな斑点模様(スペックルパターン)を形成する。このスペックルパターンをイメージセンサーで検出し、コンピュータ処理をすることで変化率のマップを求め、二次元マップとしてカラー表示し、眼底血流動態を観察することができる装置がレーザースペックルフローグラフィー(LSFG)である。

最新の広角LSFGであるLSFG-NAVI™(ソフトケア社)は視神経と黄斑部を同時に撮影でき、画素数や解像度も従来よりも向上している。また、測定領域はラバーバンドにより自由に設定でき、血流の増減の比較を定量的に行うことができる。

緑内障性視神経障害への眼循環の関与を示唆する報告は多くなされているが、今回はLSFG-NAVI™を用い主に緑内障手術前後の眼底血流動態を測定し、緑内障における有用性を検討したい。


◆ 視神経疾患の診断におけるLSFGの有用性


講演者:前久保 知行(眼科三宅病院)


2004年 宮崎大学医学部 卒業

2006年 宮崎大学医学部付属病院 医員

2009年 宮崎大学医学部付属病院 助教

2012年 宮崎大学大学院医学研究科博士課程修了

2013年 眼科三宅病院 医長


Laser Speckle FlowGraphy(LSFG)は、眼底にレーザーを照射することで反射散乱光が、干渉しあい発生するスペックルパターンを経時的に解析を行うことで血流評価を行う機器である。非侵襲的に、短時間で血流を量的に評価することができ、診断や診断後の治療反応性を経時的に評価できる点でも有用と考えられる。しかしながら、神経眼科領域においての応用は未だ進んでおらず報告も少ない。今回、視神経症で頻度の多い疾患である視神経炎、虚血性視神経症を中心に診断における有用性についてまとめる。LSFGでは前部視神経炎では血流増加し、虚血性視神経症では血流低下を示し、時に鑑別に苦慮することがある両疾患を迅速に、簡便に診断へ近づけることができる。その他の視神経疾患についても自験例を示し説明する予定である。


◆ 網脈絡膜疾患への臨床応用

講演者:松本 直(東邦大学医療センター大森病院)


1998年 東邦大学医学部 卒業

1998年 東邦大学医学部眼科学講座 入局

2004年 西横浜国際総合病院眼科医長

2006年 東邦大学医療センター大森病院 眼科病院助手

2008年 東邦大学医学部助教

2012年 東邦大学医療センター大森病院 講師(病院)

2016年 東邦大学医学部講師

 LSFG(Laser Speckle Flowgraphy)による血流測定は、非侵襲的で短時間に行え、再現性も良好である。その原理は、赤血球に照射したレーザー光の揺らぎが、血球の速度により異なる事を利用している。血流値の単位としてMBR (mean blur rate)が用いられ、任意の範囲の平均値を求められる。視神経乳頭の血流測定により、全眼球血流の目安、黄斑部を測定することにより、脈絡膜血流を検討できる。また、血管成分から、背景血流を引くことにより、網膜血管の血流値を求められる。これらにより、網脈絡膜疾患の血流動態を経時的、定量的に観察することができる。

 現在、LSFGは網膜疾患では、糖尿病網膜症や静脈閉塞症、未熟児網膜症などの虚血性疾患で病態の評価に、脈絡膜疾患では原田病、中心性漿液性脈絡網膜症などに臨床応用されている。

 本講演では、網脈絡膜疾患に対するLSFGの有用性について解説させて頂きます。


3Minimally Invasive Glaucoma Surgery(MIGS)

                                                     :臨床成績と手技のコツ


モデレーター/松村 一弘(北里大学医学部)


緑内障手術において、トラベクレクトミー、プレート無しシャント手術のEXPRESS、プレート有りシャント手術のAhmedBaerveldtなどは眼圧下降効果としては非常に有効ですが、手術侵襲が強くかつ合併症が多くあります。それに対して眼圧下降効果として前述の手術ほどではないですが、手術侵襲が低い緑内障手術として注目を集めているのがMIGSです。線維柱帯手術として、前房内アプローチ線維柱帯切開のトラベクトームやマイクロフック、また線維柱帯バイパスのiStentはいずれも小切開で短時間のため低侵襲です。笠原先生にはトラベクトーム長期成績を、谷戸先生が開発されたマイクロフックは耳側や鼻側からのアプローチも可能でその使用実績を、iStentは認可後間もないですがその短期成績を栗原先生にお願いしました。


◆ トラベクトーム手術の長期成績


講演者:笠原 正行(北里大学医学部)


2006年 北里大学医学部卒業

2013年 北里大学大学院修了

2014年 北里大学医学部助教

緑内障手術は眼圧下降を目的とする手術であり、安全で長期にわたって眼圧下降が続いてくれることが理想である。合併症の少ない緑内障手術として、近年、眼内からアプローチをして隅角鏡直視下で線維柱帯を切開することができるトラベクトーム手術が注目を集めている。手術時間が短く、手技が容易であり、小角膜切開で行うため結膜を温存することが可能であり、将来のトラベクレクトミーに備えることができる。201012月に国内で承認され、徐々に普及してきている。線維柱帯を線状に切開するのではなく、帯状に切除することができるため線維柱帯切除術と表現されることもあり、理論上は再閉塞が起こりにくく、長期的な眼圧下降効果が期待できる。しかし、これまでに長期成績の報告が少なく、実際のところはわからない。本講演では自験例および国内外での報告から、トラベクトーム手術の長期成績について考えていきたい。


iStent の使用経験と短期成績


講演者:栗原 勇大(山王台病院)


2003年 筑波大学医学専門学群 卒業

2003年 筑波大学眼科 入局

2006年 土浦協同病院 眼科

2010年 山王台病院附属眼科・内科クリニック 院長


  近年、shunt deviceを用いたminimally invasive glaucoma surgeryが注目されているが、米国FDAの承認から4年遅れて、本邦でも白内障手術併用眼内ドレーン(iStent トラベ キュラー マイクロバイパス ステント システム, Glaukos)が承認された。白内障手術に併用して眼内から全長1mmのチタン製ステントを直接シュレム管に挿入し、眼圧下降を期待する手技で慣れれば数分で終了する。適応症例に制限があり、販売後に数例の手術を経験したが現状では全例で術後眼圧の低下を得られている。将来の濾過手術を見越して結膜を温存できるのが最大のメリットである。術中の前房出血は全例で生じるが、術終了時には止血が確認でき目立った合併症は経験していない。講演までに増加する症例を含めて、治療後の短期成績と手技上のコツやトラブルに関して述べたい。


◆ マイクロフックab internoトラベクロトミー



講演者:谷戸 正樹(松江赤十字病院眼科部部長)



1996  島根医科大学医学部卒業

1996  島根医科大学医学部眼科助手

1999  千原眼科医院医員

             ・京都大学大学院医学研究科特別研究学生

2003  日本学術振興会特別研究員

             ・京都大学ウイルス研究所研究員

2004  日本学術振興会特別研究員

             ・オクラホマ大学ヘルスサイエンスセンター眼科研究員

2006  島根大学医学部眼科講師

2014  松江赤十字病院眼科部部長

線維柱帯からシュレム氏管内皮網に房水流出抵抗の首座がある緑内障では、トラベクロトミーによる眼圧下降が期待できる。トラベクレクトミーとの対比において、トラベクロトミーには、術後に達成される眼圧レベルがやや高いものの、遷延する低眼圧や術後濾過胞感染などの重篤な合併症が少ないという特徴がある。加えて、白内障手術との併用で、眼圧下降効果が増強されるという、臨床的に有用な特徴を有する。近年、手術時の線維柱帯へのアプローチの方法は、結膜・強膜切開によるab externo法から、角膜小切開からのab interno法、いわゆるMinimally invasive glaucoma surgery (MIGS)に急速にシフトしている。本講演では、新規のMIGS術式である、マイクロフックab internoトラベクロトミーの特徴・適応に加えて、その手技について解説したい。


展示機器のご紹介


ウェルチ・アレン・ジャパン株式会社


SpotVisionScreener



グラウコス・ジャパン合同会社


iStent🄬トラベキュラー

            マイクロバイパス ステントシステム

 

      iStent🄬本体



インサーター


株式会社はんだや


陳氏スーチャートラベクロトミー糸


佐藤氏隅角切開針




  先端





株式会社ニデック


レーザースペックルフローグラフィーLSFG-NAVI



 興和株式会社


  TRABECTOME®



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第17回眼科臨床機器研究会(2017年10月21日)

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