第15回眼科臨床機器研究会
日時:2015年11月28日(土) 15:30~18:30
会場:横浜シンポジア
ジョイント開催:The 19th IRSJ(2015)
日眼専門医事業認定番号:12745
主催 眼科臨床機器研究会
会長 庄司 信行(北里大)
第15回眼科臨床機器研究会
日時:2015年11月28日(土) 15:30~18:30
会場:横浜シンポジア
ジョイント開催:The 19th IRSJ(2015)
日眼専門医事業認定番号:12745
主催 眼科臨床機器研究会
会長 庄司 信行(北里大)
プログラム
1)iPadの眼科医療への応用 モデレーター/石川 均(北里大)
・iPadを用いた弱視訓練-Occlu-pad®- 半田 知也(北里大)
・iPad,iPhoneを用いたあたらしいビジョンケア
三宅 琢(東京大学先端科学技術研究センター)
・Occlu-pad®に活用されたテクノロジーと、その応用例」
~リアルとバーチャルのハザマで~ (窪田 和弘((株)コト)
2)補償光学網膜イメージングカメラrtx1 モデレーター/柳田 智彦(北里大)
・補償光学網膜イメージングカメラrtx1の原理と特徴 川守田 拓志(北里大)
・補償光学網膜イメージングカメラrtx1の使用経験 白谷 徹(北里大)
・補償光学網膜イメージングカメラrtx1の臨床応用 森 俊男(飯田市立病院)
3)光学式眼軸長測定装置 モデレーター/飯田 嘉彦(北里大)
・LENSTAR LS900の使用経験とその有用性 矢ノ目 京平(北里大)
・OA-2000の臨床評価 玉置 明野(中京病院)
・IOL Master700の使用経験 島村 恵美子(埼玉県済生会栗橋病院)
1)iPadの眼科医療への応用
モデレーター/石川 均(北里大)
このように、我々の情報源、また他とのコミュニケーションの大部分はスマートフォンであるが、一方でそのスマートフォンの情報を視覚障害者にいかに提供するかは、ロービジョンケアの大きな問題でもある。講演は本領域の最先端を行く3名のエキスパートをお呼びし、iPad, iPhoneを用いた幅広い意味での視覚ケアへの応用を御講演頂く。素晴らしい演者、演題と私自身自負しており、講演が大変楽しみである。
◆ iPadを用いた弱視訓練 -Occlu-Pad®-
1998年 川崎医療福祉大学 医療技術学部
視能矯正学専攻 卒業
2004年 北里大学大学院 医療系研究科
眼科学 修了(博士医学)
2004年 北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科
視覚機能療法学 助手
2005年 北里大学 医療衛生学部リハビリテーション学科
視覚機能療法学 講師
2012年 北里大学 医療衛生学部リハビリテーション学科
視覚機能療法学 准教授
2012年 北里大学大学院医療系研究科 准教授
遮閉法(健眼な眼を眼帯で遮閉)は現在の弱視治療の中心的方法であるが,多くの小児患者にとって眼帯による遮閉は心理的に受け入れ難く,指示どおりの遮閉法を行えているかどうか懸念がある。また遮閉法は健眼の視力と両眼視機能の阻害の上に成り立っており,その他にも皮膚のかぶれ、遮閉弱視の危険性など無視できない副作用への懸念もある。眼帯を張られる小児弱視患者の心情を考慮し、弱視訓練に対するモチベーションを保て,さらに副作用の懸念がない弱視訓練法の開発が期待される。 近年我々は、iPad® Air (Apple inc)に特殊加工を施すことで,偏光眼鏡装用下にて弱視眼のみに映像提示できる両眼開放下のタブレット型視機能検査訓練器(Occlu-Pad®:オクルパッド)を開発し,小児弱視患者に対する弱視訓練効果を報告した。本講演では,Occlu-Pad®を用いた弱視治療成績及び,その応用展開について紹介する予定である。
◆ iPad,iPhoneを用いたあたらしいビジョンケア
2005年 東京医科大学医学部 卒業
2012年 東京医科大学眼科学教室 兼任助教
2013年 東京大学先端科学技術研究センター
人間支援工学分野 特任研究員
2014年 神戸理化学研究所
網膜再生医療研究開発プロジェクト
客員研究員
2015年 神戸先端医療センター病院 眼科 非常医
IT(Information technology)機器の活用は、さまざま分野での応用が試みられているが視覚障害者が情報障害者に陥ることを予防する上でとても重要な意味を持っている。私はこれらのIT機器をを用いたロービジョンケアをデジタルビジョンケアと称し、医療や就労の分野において眼科医や産業医の立場で実践して来た。
本講では主にタッチパネル端末の操作性やアクセシビリティ機能の視覚障害者への有効性を解説し、デジタルビジョンケアを導入することが視覚障害者の生活の質を向上させた事例を紹介する。また眼科医療や産業保健分野におけるICT機器導入の重要性とデジタルビジョンケアの導入が医療従事者や視覚障害者の情報障害を軽減することや、視覚障害者が自ら情報を入手発信できるようになることの社会的な意義を解説する。
◆ 「Occlu-pad®に活用されたテクノロジーと、その応用例」
~リアルとバーチャルのハザマで~
講演者:窪田和弘(㈱コト)
広島県尾道市出身。
大阪大学理学部物理学科卒業。
1985年 日本電気株式会社に入社、半導体グループ配属。パソコン用グラフィックスチップの開発及び販売技術に携わったのち、Windowsアクセラレータのアーキテクチャ設計担当を経て、大手ゲームメーカー用のカスタム・グラフィックスチップ設計主任、WindowsCE用シングルチップの企画、開発主任、電子書籍用装置の研究、企画を担当。
1999年 プロダクトマネージャー就任。同年日本電気株式会社を退職
株式会社コトに開発部長として入社。携帯ゲーム用チップの開発を手がける。
2000年 9月株式会社コト取締役に就任。
2001年 7月株式会社コト代表取締役社長に就任。
株式会社コトは、設立以来20年あまり、玩具用あるいは教育用のゲームを開発してきた。ゲーム制作は、ユーザが「ゲームロジックを理解できない。面白くない。」と思った瞬間にそっぽを向かれる厳しい世界である。必然的にユーザ・インタフェースにこだわる商品作りをする。今回は、このノウハウを利用して、弱視訓練のためのソフトウェア開発を担った。本来「苦しいものである訓練」に、エンターテイメントという調味料をふりかけて、いかに「楽しい訓練」に変えていくかが我々のネライである。
人々を振り向かせるためには、どのように技術を活用するべきなのか。我々が開発したDigishot®技術を応用した商品例を通して、その一端を説明したい。そして、その企画開発の底流にある暗黙知を汲み取ってもらえれば幸いである。
2)補償光学網膜イメージングカメラrtx1
補償光学網膜イメージングカメラrtx1TM(Imagine eyes社)は錐体細胞のモザイク構造や網膜毛細血管、網膜神経線維層等、網膜の微細構造を撮影できる眼底カメラである。平面的に視細胞の配列や数を観察することで、黄斑疾患での視細胞が障害されている範囲を判定することができ、その経過を追うことによって、視細胞レベルでの病態の変化を知ることができる。現在のところrtx1TMが導入されている施設は限られており、広く日常的に用いられてはいないが、将来的に眼底カメラが進化していく方向を指し示す先進的な臨床機器である。
このセッションでは、機器の原理と特徴に関して川守田拓志先生に、実際にこの眼底カメラを使用した経験については白谷徹先生に、臨床における応用に関しては森俊男先生に講演していただき、rtx1 TM の全体像を捉えることができればと思う。
◆ 補償光学網膜イメージングカメラrtx1の原理と特徴
講演者:川守田 拓志(北里大)
2003年 北里大学医療衛生学部視覚機能療法学専攻 卒業
2005年 University of Arizona, Ophthalmology
and Vision Science,Visiting scholar
2008年 北里大学大学院医療系研究科眼科学
(博士課程)修了
2008年 北里大学医療衛生学部
視覚機能療法学専攻 助教
2011年 北里大学医療衛生学部
視覚機能療法学専攻 講師
補償光学網膜イメージングカメラrtx1TM(Imagine Eyes社)は、従来の眼底カメラに補償光学技術を応用し、生体眼における細胞レベルでの網膜観察が可能な眼底イメージング機器である。本機器の原理は、Shack-Hartmann波面センサーで収差を計測し、制御装置を介して可変形鏡を動かすことで、収差をリアルタイムに補正し、鮮明な眼底写真を得る。測定波長は、850 nm(赤外線)、水平分解能は、約2 μmである。特徴として、視細胞解析ソフトウェアAO Detect TMを用いれば、錐体細胞密度や細胞配列の規則性を評価可能となる。視細胞や網膜毛細血管、神経線維層などをより詳細に観察できるようになるため、網膜病変の早期発見や、細胞レベルでの治療効果の判定への応用に期待がかかる。本講演では、このあたらしい補償光学網膜イメージングカメラrtx1TMの原理と特徴について、わかりやすく解説したい。
◆ 補償光学網膜イメージングカメラrtx1の使用経験
講演者:白谷 徹(北里大)
2002年 北里大学医学部 卒業
2008年 北里大学大学院 医療系研究科 卒業
2009年 北里大学医学部眼科 助教(研究員)
2014年 北里大学医学部眼科 診療講師
近年OCTの発展に伴い、黄斑部網膜を非侵襲的により詳細に検査できるようになってきた。OCTは黄斑円孔や黄斑上膜、加齢黄斑変性など黄斑形態に異常を生じる疾患に対して特に有用であるが、細胞レベルを評価するにはまだ問題点も多い。フランスImagine Eye社が開発した補償光学網膜イメージングカメラrtx1™は補償光学技術を搭載している眼底カメラで、角膜や水晶体を含む眼球光学系の全収差をリアルタイムで測定し補正することによって最大約2μmの光学的横軸解像度を得られるため、視細胞や毛細血管、神経線維層を高解像撮影することができる。今回我々はrtx1™を使用する機会を得たので測定方法や測定時の問題点などを検査側からの視点で報告する。
◆ 補償光学網膜イメージングカメラrtx1の臨床応用
講演者:森 俊男(飯田市立病院)
2006年 山梨大学医学部卒業
2006年 社会保険中京病院 臨床研修医
2008年 社会保険中京病院 眼科
2013年 飯田市立病院 眼科医長
補償光学眼底イメージング機器は、眼光学系における収差をリアルタイムで補正することで、高解像度な画像取得が可能である。rtx1(Imagine Eyes社)は、臨床で使用できるようにコンパクト化された補償光学眼底カメラで、現在市販されている唯一の補償光学搭載機器である。視細胞や網膜血管壁など、従来機器で得られなかった網膜微細構造が描出され、同社から発売されているソフトウェアを用いれば画像解析も可能である。ただ実際の撮影においては、涙液や中間透光体などの影響を受け条件が良くないとうまく撮影できないため、撮影精度を上げる工夫が必要となる。臨床的には網膜の微細変化を捉えることで、疾患の早期発見やモニタリングなどが期待されている。本講演では、手術症例(黄斑円孔、黄斑前膜、網膜剥離など)の術前後における網膜構造の変化や、変性疾患の経時的変化など様々な画像を供覧し、臨床での有効性について述べる。
3)光学式眼軸長測定装置
モデレーター/飯田 嘉彦(北里大)
白内障手術の成功のカギの1つは術後屈折誤差のないIOL度数算出である。屈折誤差に影響する因子は様々あるが、まず前提となるのは、眼軸長測定をはじめとした生体計測が精確であることである。
超音波式から光学式への測定原理の変化は、測定精度の向上や計測時間の短縮など大きな変化をもたらしたが、その特性上、視軸状に混濁がある症例などの計測が困難であった。現在、各社から発売されている眼軸長測定装置では測定波形を加算処理したり、深達性の向上につながる検出技術の進化(タイムドメインからフーリエドメインへ)など、従来よりも眼軸長の測定精度の向上が期待され、またトーリックIOLへの対応など、白内障手術計画全般をサポートする機器となりつつある。
本セッションでは3機種の生体計測装置について経験豊富な先生方をお招きし、それぞれの器械の特徴と使用経験について御講演いただき、これらの器械のもつポテンシャルについて探っていきたい。
◆ LENSTAR LS900の使用経験とその有用性
講演者:矢ノ目 京平(北里大)
2009年 国際医療福祉大学
保健医療学部 視機能療法学科卒業
2009年 北里大学病院入職
今日、光学式眼軸長測定装置はIOLマスターをはじめ、各社から発売され、バージョンアップを重ねるごとに、測定時間の短縮、測定可能率の向上が報告されている。
LENSTAR LS900®(HAAG-STREIT社、以下LS900)では、眼軸長測定波形を加算処理することで測定率の向上を図る機能であるDense Cataract Measurementモード(以下DCMモード)が搭載され、これにより測定可能率が大きく向上した。
実際の計測についてはワンショットで眼軸長だけでなく角膜から網膜までの眼内のパラメーターを測定し、さらにオプションのT-Coneを取り付けることで中心6㎜の光学領域のトポグラフィー測定も可能となり、生体計測としても充実した機器となった。またLS900ではトーリックIOLのレンズ選択を含めて手術計画をLS900上で行い、手術場に手術計画をプリントアウトして持ち込むことが可能であり、1台かつ単一のプロセスで白内障手術計画を行えるツールとなった。今回はこれらの有用性を使用経験とともに検証する。
◆ OA-2000の臨床評価
講演者:
(独立行政法人地域医療機能推進機構 中京病院)
1987年 国立大阪病院附属 視能訓練学院 卒業
1987年 社会保険中京病院
2005年 川崎医療福祉大学 医療技術学部 感覚矯正学科
非常勤講師兼務
2007年 愛知淑徳大学 健康医療科学部 医療貢献学科
視覚科学専攻 非常勤講師兼務
2013年 信州大学 大学院総合工学系 研究科博士課程
2014年 独立行政法人 地域医療機能推進機構 中京病院
光干渉眼軸長計測は、タイムドメイン(TD)からフーリエドメイン(FD)へと進化し、高速、高深達、高精度であることが報告されています。Swept Source を光源とするOA-2000(トーメーコーポレーション)は、世界に先駆けて日本から発売されたFD生体計測装置であり、その臨床評価は重要であると考えます。中京病院における白内障術前の連続340眼における眼軸長測定可能率は、TD装置が90%程度であったのに対し、OA-2000は97%と高い優位性を示し、特に核硬度の高い症例や視軸上に混濁のある後嚢下白内障において、その差は顕著であることが分かりました。発売当初から臨床使用させて頂いた結果をもとに、使用感と測定精度について臨床成績を報告し、装置を操作する視能訓練士の立場から「こうであって欲しい」という期待を込めて、他のFD装置と比較した利点、欠点についても考えてみたいと思います。
◆ IOL Master700の使用経験
1997年 国立小児病院視能訓練学院卒業
1997年 埼玉県済生会栗橋病院眼科入職
光学的眼軸長測定のゴールドスタンダードと称されるIOLMaster®(Carl Zeiss Meditec、以下IOLMaster)が新たに生まれ変わった。その名もIOLMaster700。従来器が部分干渉法で1本のAスキャンを波形で表示する装置であったとすれば、IOLMaster700はスウェプトソースOCTで6方向(0/ 30/ 60/ 90/ 120/ 150°)のBスキャンを断層像として表示し、測定結果を前眼部から眼底まで1枚の眼球断層像として確認できる装置である。従来器よりも測定精度が飛躍的に向上することが期待される。測定率・測定値・術後屈折誤差はもとより、装置自体の大きさ、所要時間、タッチパネル操作等、臨床上の使い勝手という観点からも比較しながら、新世代の“スウェプトソースバイオメトリーTM”、IOLMaster700の使用経験をお伝えする。
展示機器のご紹介
中央産業貿易
California
カールツァイスメディテック株式会社
IOLマスター700
株式会社JFCセールスプラン
・ジャパンフォーカス株式会社
レンズスターLS900🄬
株式会社JFCセールスプラン
・ジャパンフォーカス株式会社
Occulu-pad🄬
株式会社バイタル
rtx1™