11回眼科臨床機器研究会


日時:201095日(日)  14:3017:30

会場:パシフィコ横浜 会議センター501会場


同時開催:第46回日本眼光学学会総会、The 14th IRSJ2010

日眼専門医事業認定番号:12745


主催 眼科臨床機器研究会

共催 日本眼科医療機器協会

会長 庄司 信行(北里大)

プログラム

1炭酸ガスレーザーの眼科応用                    モデレーター/石川 均(北里大)

・炭酸ガスレーザーの新しい使い方                               宮田 信之(岡田眼科)

・炭酸ガスレーザーを用いた外眼部手術                江口 秀一郎(江口眼科病院)

・炭酸ガスレーザーが組織に及ぼす反応とその利用法

                                                             宇津木 龍一(クリニック宇津木流)


2)一般講演                                             モデレーター/市邉 義章(北里大)

・新型洗浄器による感染症対策                                    明田 知也(㈱イナミ)

・ハイデルベルグスペクトラリス・スキャンプランニングツールのご紹介

                                                               若山 慎(ジャパンフォーカス㈱)

・ステレオ眼底カメラ コーワnonmyd WXによる視神経乳頭解析

                                                                                 中川 俊明興和㈱

・IHEによる標準化と日本眼科医療機器協会による共通化の取り組み

       加藤 憲(日本眼科医療機器協会 電子カルテ標準化技術委員会 ㈱トプコン)


3)OCTの新しい試み                                 モデレーター/神谷 和孝(北里大)

前眼部OCTによる隅角の評価                                       富所 敦男(東京大)

超高速OCTによる瞳孔ダイナミクスの観察                中西 基大和市立病院

調節負荷時のSS-OCTを用いた眼のバイオメトリー        五十嵐 章史(北里大)


1)炭酸ガスレーザーの眼科応用


モデレーター/石川 均(北里大学医療衛生学部)

本年1月、今回演者のお一人である宮田先生の炭酸ガスレーザーを用いた素晴らしい眼瞼手術のご発表を拝聴し、私自身非常に感銘を受けました。止血に苦慮しながら眼瞼の手術を行っているのがまさに罪悪のようでもありました。是非、すぐに購入しようかと思った矢先、当院の形成外科でも所有していることが判明。しかし皮膚腫瘍等一部の疾患にしか使用していないことも分かりました。やはり使用にあたっては適応、非適応があり利点、欠点も当然あるのでしょう。

今回の発表は最高の演者3名をお招きし、御自身の考えのもと炭酸ガスレーザーの利点、欠点、適応を発表いただき、その後、ブラックジャックとキリコのような最高の討論を私自身、特に楽しみにしております。また最後に今後、私のようなこれから炭酸ガスレーザーを使うものはどのようにしたら良いかをお聞きできれば最高!と考えております。


◆ 炭酸ガスレーザーの新しい使い方

講演者宮田 信之岡田眼科

 

1986年 横浜市立大学医学部卒業後大学にて臨床研修

1988年 横浜市立大学 形成外科入局

1989年 国立ガンセンター頭頚部外科

1990年 横浜市立大学 救命救急センター

1991年 関東労災病院 形成外科

1992年 横浜市立大学形成外科助手、形成外科専門医

1995年 横浜市立大学眼科助手

1997年 横須賀共済病院眼科医長、 眼科専門医

2001年 岡田眼科、学位取得

2003年 岡田眼科副院長


日本で炭酸ガスレーザーが初めて眼科臨床の場で使用されたのは1998年ですが、当時、価格も高く、大型の器械で十分に使いこなせず、普及には至りませんでした。しかし、この10年で炭酸ガスレーザーは軽量化され、価格も下がり、さらに切れ味もよくなり、一般臨床の場で十分使用可能となってきました。最新の炭酸ガスレーザーはうまく使用すればメスに近く、従来、しみやあざといった皮膚病変に対して表面を削る治療法の時代から切開と止血を同時に行えるレーザーメスとしての応用が広がり、術中出血や術後の腫れを少なくし、短時間で手術が行える時代となってきました。

現在、当院で炭酸ガスレーザーを使用して行っている眼形成手術のうち代表的な眼瞼下垂、眼瞼下垂再手術、下眼瞼内反、眼窩脂肪ヘルニアの手術を供覧させて頂き、諸先生方のご意見を頂ければ幸いです。


◆ 炭酸ガスレーザーを用いた外眼部手術

講演者:江口 秀一郎江口眼科病院


1981    日本大学医学部卒

1981    東京大学医学部眼科学教室入局

1986    公立昭和病院眼科医員

1987    医学博士授与(東京大学)

1988    東京大学医学部眼科講師(病棟医長)

1993    カリフォルニア大学サンフランシスコ校眼科客員教授

1995    東京大学医学部眼科専任講師

               江口眼科病院副院長

2004    江口眼科病院院長


炭酸ガスレーザーは波長10600nmの波長を有し、開発当初よりレーザーメスとしての応用が期待されていた。初期の炭酸ガスレーザーは連続波であったため、組織の熱損傷、収縮、炭化、浮腫が強く、更に1mmを超える血管の止血が出来ず、血液や組織蒸散ミストが医療従事者に吸引されるリスクがあったこと等より臨床応用が下火になった。しかし1990年代以降、断続的に高いエネルギーのレーザーを照射するパルスモード、ウルトラパルスモードの開発導入が主たる契機になり、組織の熱損傷を抑制する等、実用性が増したため、切開範囲が限定的で皮膚も薄い眼瞼手術への炭酸ガスレーザーの導入が促進された。本講演では眼瞼下垂症に対する経皮的ミュラー筋タッキング手術を中心に、炭酸ガスレーザーを用いた手術の実際を供覧すると共に、その術後結果を経時的、定量的に解析し、ウルトラパルスモード炭酸ガスレーザーの眼科手術における有用性を検討する。


◆ 炭酸ガスレーザーが組織に及ぼす反応とその利用法

講演者:宇津木 龍一(クリニック宇津木流)


1980    北里大学医学部卒業

               同大学形成外科・美容外科学入局

1990     同、専任講師

1990-92年 米国テキサス大学 外科/細胞生物学教室留学

1992-95年 米国ペンシルバニア大学形成外科留学

1994    同大学形成外科 Assistant professor(非常勤)

1995    北里研究所病院美容外科・形成外科創設(部長)

1999    北里研究所病院美容医学センター創設(センター長)

2007    眼瞼下垂とフェイスリフト専門の形成外科

               クリニック宇津木流開設(院長)


皮膚外科や美容医療の領域に於いて、炭酸ガスレーザーは、まず最初にそろえるべき有益なレーザー機器として認識されており、現在、最も普遍的に活用されている。その用途は、1)皮膚良性腫瘍の蒸散切除、2)小じわ、ニキビ痕、傷跡の治療、3)手術用レーザーメス、など多岐にわたる。効果を生むメカニズムのほとんどは、光熱作用による組織の気化蒸散と線維組織新生および拘縮に由来している。演者は、現在2種類の炭酸ガスレーザーを使用しているが、3)に関しては、術後の腫れが少ない手術をめざして、レーザーメスもモノポーラー電気メスも使用していない。今回は、レーザーメスを使わない根拠を述べるとともに、1)2)に対してレーザー治療を行った症例の臨床効果と組織反応を提示する予定なので、会員諸氏の率直なアドバイスやご批判をいただければ幸いである。また、眼科領域における炭酸ガスレーザーの応用法を考える上で参考になれば幸いである。


2)一般講演

モデレーター/市邉 義章(北里大学医学部眼科)


◆ 新型洗浄器による感染症対策

講演者:明田 知也(株式会社イナミ)


手術器具洗浄における従来の「キャビテ-ション方式」と言われる洗浄方式での洗浄では、微細な先端等を有する手術器具類に損傷を与えやすく、また、その洗浄効果にも限界がありました。

手術器具製造メ-カ-である当社が、製造元のアスカメディカル社と開発致しました「手術器具用超音波ディスインフェクタ- LEVITEX」は、世界初の「レビテ-ション方式」という洗浄方式により、手術器具類の微細な先端等の損傷を防ぎ、さらにはその高い洗浄力が感染症のリスクを低減することが実証されております。

本製品は93°の熱水洗浄がプログラムされており、厚生労働省発行の「プリオン病感染予防ガイドライン(2008年版)」に対応しています。

給水、洗剤注入、洗浄、すすぎ、エアブロ-等の工程がフルオ-トのため、効率的なタイムマネジメントも可能となります。


◆ ハイデルベルグスペクトラリス・スキャンプランニングツールのご紹介

講演者:若山 慎(ジャパンフォーカス株式会社)


ハイデルベルグエンジニアリング社のスペクトラリスOCTには、OCT画像とcSLO画像を同時撮影し、cSLO画像の眼底の血管等を照合した結果をOCTスキャナーにフィードバックすることにより、リアルタイムにトラッキングを行う機能があります。この技術により同一個所を再スキャンすることを可能とし、画像平均化による高品質なノイズリダクションはもとより高精度のフォローアップ検査を行うことができます。

その延長として過去に撮影したcSLO画像を元にOCT撮影位置の計画をオフラインで行い計画した通りの場所のOCTスキャンを行う「スキャンプランニングツール」をご紹介します。この機能を使用し複数の機器をネットワーク接続して組み合わせることにより、日頃頻繁に使用されるOCT機器と、撮影占有時間の長いcSLO撮影のワークフローを最適化することが可能となり、効率的に機器を使用して診察を行うことができるようになります。


◆ ステレオ眼底カメラ コーワnonmyd WXによる視神経乳頭解析

講演者中川 俊明興和株式会社


緑内障の所見の一つに、視神経乳頭陥凹拡大があるが、拡大の程度を判定する際の、異なる検者間変動、および、同一検者内変動の問題が指摘されていた。視神経乳頭陥凹拡大の評価には、ステレオ眼底撮影が有効であることは知られているが、眼科検診や人間ドック等では、ほとんど行われていないのが現状である。そこで、簡便で汎用性の高いステレオ眼底カメラであるコーワnonmyd WXを開発した。本装置は、通常の無散瞳眼底撮影に加えて、1ショットで視神経乳頭のステレオ撮影が可能であり、ステレオ画像の左右視差画像間における位置ズレや、輝度およびコントラストの差を最小限に抑えた、高画質のステレオ眼底画像の取得が可能である。さらに、診断精度をより高めるために、ステレオ眼底画像を用いて視神経乳頭陥凹部の形状を定量的に3次元計測するためのソフトウェアを開発した。今回は、本装置の特徴について紹介する。


IHEによる標準化と日本眼科医療機器協会による共通化の取り組み

講演者:加藤 憲

(日本眼科医療機器協会 電子カルテ標準化技術委員会(株式会社トプコン))

現在、日本眼科医療機器協会において、各検査機器から出力されるデータの共通化の作業を行っている。

これは、現在電子カルテを含めた、眼科における電子化が進んでいくなかで、従来メーカー各にバラバラのフォーマットにて出力されていた検査データを、標準化し、施設での導入に際して障壁となっていた、インターフェイスの開発期間およびコストを、軽減することを目的としている。

最初の取組みとして、会員各社の協力の元、最も基本的な機器としてレフケラトメーターにおけるデータの共通仕様を策定し、2008年10月に日本眼科医療機器協会会員各社にたいして、公開を行った。

その後は他の検査機器についても、順次段階的に対応を行って行く事とし、現在は、眼圧計からの出力フォーマットの作成を行っている。

また眼底カメラ・前眼部等の検査画像についても、国際的な標準規格であるDICOMを念頭において共通企画作成を検討している。

また上位システムへの対応としては、病院全体における世界的な標準規格であるIHE(Integrating The Healthcare Enterprise)との連携を前提に、IHE-J眼科ワーキンググループと連携を取り、標準化への取組みをおこなっている。


3OCTの新しい試み


モデレーター 神谷 和孝(北里大学医学部眼科)


光干渉断層計 (Optical Coherence Tomography; OCT)は、眼科領域の診断や治療においても今や必要不可欠のデバイスとなりつつある。後眼部OCTの登場によって黄斑部病変の診断は大きく変貌を遂げたことは周知の通りである。前眼部OCTにおいても同様であり、角膜・虹彩・隅角・瞳孔・水晶体に関する生体情報を、非侵襲的かつ高精度に取得し視覚化することが可能となった。今や3次元情報からダイナミクスに至るまで、バイオエンジニアリングの発展は目覚ましいものがある。では、果たして眼科医は今後どのような形で日常診療や治療に応用していくべきであろうか?本セッションでは、前眼部OCTをさまざまな眼科領域において臨床応用している3人のエキスパートの先生方に講演いただき、OCTの新たな可能性や今後の展開について考えたい。


◆ 前眼部OCTによる隅角の評価

講演者:富所 敦男東京大学医学部眼科)

 

1989年 新潟大学医学部卒業

1989年 東京大学眼科入局

1994年 大宮赤十字病院眼科

1998年 医学博士

2002年 大宮赤十字病院眼科部長代理

2003年 東京大学眼科講師(現職)


従来の隅角鏡や超音波生体顕微鏡(UBM)に加えて、最近、OCTによる隅角構造の評価が一般化しつつある。UBMに対するOCTの利点としては解像度が高い画像を非接触且つ短時間で取得できることが挙げられるが、欠点としては現在のOCTではプラトー虹彩形状などにおいて重要だとされている毛様体に関する情報がほとんど得られないことがある。

前眼部解析のために、当初は波長1300nmの光を使ったタイム・ドメインOCTが使用されたが、近年、スウェプト・ソースOCTSS-OCT)の導入により空間解像度が向上しただけでなく、測定時間の大幅な短縮により三次元データの取得や画像の重ね合わせによるスペックルノイズ除去などが可能となった。我々はこれまでにSS-OCTを用いて生体眼におけるシュレム管位置の確定、狭隅角眼におけるirido-trabecular contact(器質的閉塞と機能的閉塞をあわせた概念)の解析などを行ってきた。本講演ではOCTによる隅角解析をまとめるとともにそれらの結果などを紹介したい。


◆ 超高速OCTによる瞳孔ダイナミクスの観察

講演者:中西 基大和市立病院

 

1997年 北里大学医学部卒業

2004年 北里大学大学院医療系研究科博士課程修了

2004年 国際医療福祉大学附属熱海病院講師(眼科)

2006年 北里大学医学部眼科学助教

2010年 大和市立病院眼科科長


トプコンのSD-OCT3D-OCT 1000』がデリバリーされて4年が経過した。この機器は、その名の通り、これまで2Dであった網膜断層像をきわめて精密に3D画像化した点で非常に画期的であった。その後、高速化が可能なSD-OCTは大いに注目され、各社が新機種をこぞって発売し現在に至っている。

近年、OCT高速化はどのように発展してきたのだろうか?MITのグループは、SD-OCTで培われた技術を発展させ、312.5 KHzもの高速化を実現している。彼らはこの超高速OCTを用いれば、さらなる網膜の高分解能化が可能であると報告している。

一方、SD-OCTとは全く異なる技術を用いたOCT高速化の試みも行われている。その一つが、当教室が独自に開発したOptical Demultiplexer-OCTOD-OCT)である。OD-OCT5 MHzもの世界一の高速化を実現しているが、このシステムを用いれば、生体の4Dつまりダイナミクスの測定が可能である。講演では、OD-OCTシステムについて簡単に解説し、その臨床応用の一つとしての瞳孔ダイナミクスについて報告する。


調節負荷時のSS-OCTを用いた眼のバイオメトリー

講演者:五十嵐 章史(北里大学医学部眼科)


2003年 北里大学医学部卒業

2009年 北里大学大学院医療系研究科博士課程修了

2010年 北里大学医学部眼科学助教


 近年、OCTは目覚ましい進歩を遂げ、眼科の診療になくてはならないものとなってきた。眼底における網膜および硝子体の詳細な評価は勿論のこと、前眼部OCTの開発により、角膜や隅角、虹彩の断層面の情報を得ることも可能となってきた。一方、従来より前眼部の観察にはUBMが用いられてきたが、侵襲的な検査であり、時間も要するため再現性が低く、眼のバイオメトリーとしては十分なものではなかった。

今回、当教室が独自に開発したSS-OCTは、20KHzもの高速撮像を実現し、計測深度が12 mmと深いため、角膜前面から水晶体後面までを動的にまた立体的に描出することが可能となった。そこで講演では、このSS-OCTを用い調節負荷をかけたときの角膜、前房、水晶体の形状変化を動的に捉えたのでこれを報告する。


展示機器のご紹介


ジャパンフォーカス株式会社


ハイデルベルグ スペクトラリス



興和株式会社


コーワnonmyd WX


株式会社ジャメックス

 

ニーク炭酸ガスレーザー LASERY 15Z


株式会社イナミ


  手術器具超音波ディスインフェクター LEVITEX



株式会社トーメーコーポレーション

 

SS-1000 CASIA


      株式会社ディード

 

      キュアクール

 

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第11回眼科臨床機器研究会(2010年9月5 日)

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