10回眼科臨床機器研究会


日時:2009926日(土)  15:3018:30

会場:パシフィコ横浜 アネックスホール2F


合同開催:The 13th IRSJ2009

日眼専門医事業認定番号:12745


主催 眼科臨床機器研究会

共催 日本眼科医療機器協会

会長 庄司 信行(北里大)


プログラム

 

1)新しいフェイコマシーン               モデレーター/飯田 嘉彦(北里大)

INFINITYR Vision System の使用経験                                             

                                                       稲村 幹夫稲村眼科クリニック

FortasTM CV-30000の使用経験                藤澤 邦俊海老名総合病院

WHITESTAR Signature™の使用経験              大木 孝太郎(大木眼科


2)一般講演                                       モデレーター/石川 均(北里大)

・新しい光干渉眼軸長測定装置レンズスターLS900

                                                     安永 真彦(㈱JFCセールスプラン)

・白内障手術教育におけるSurgical Media Centerの有用性

                                                                    松島 博之(獨協医科大)


3)新しい眼圧測定装置                     モデレーター/神谷 和孝(北里大)

進化した眼圧計                                              芝 大介(慶応義塾大)

・新しい眼圧測定器を用いた正常眼圧緑内障(NTG)の眼圧値

                                                                        森田 哲也(北里大)

・屈折矯正手術におけるOcular Response Analyzerの応用

                                                                         大本 文子(北里大)


1)新しいフェイコマシーン

モデレーター/飯田 嘉彦(北里大学医学部眼科)

 多くの先達の努力や工夫、また手術機器・器具の進歩により、白内障手術は安全かつ効率よく行えるようになり完成度の高い手術となったが、白内障手術はここでとどまることなく、より効率的かつ低侵襲な手術を追求した新たなテクノロジーを取り入れたフェイコマシーンが各メーカーから登場し、さらに完成度の高い手術へと進化することが期待される。

 しかしながらフェイコマシーンがいくら高性能になったとはいえ、最新の機能を十分に発揮しそのメリットを生かすためには、ただその器械を使えばいいというわけではなく、術者や手術に関わるスタッフ達が器械の特徴を理解し、その能力を引き出すように使いこなさなければ、宝の持ち腐れ、ということにもになりかねない。

 本セッションでは最新のフェイコマシーン3機種について経験豊富な先生方をお招きし、それぞれの器械の特徴と使用経験について御講演いただき、これらの器械のもつポテンシャルについて探っていきたい。


INFINITY🄬 Vision System の使用経験

講演者:稲村 幹夫稲村眼科クリニック

 

1982    群馬大学医学部卒

               横浜市立大学医学部病院臨床研修医

1985    済生会横浜市南部病院眼科

1986    神奈川県立足柄上病院眼科

1987    小田原市立病院眼科

1989    横浜市立大学医学部眼科 助手

1992    藤岡眼科病院

1997    稲村眼科クリニック開業

ALCON社のInfiniti Vision System®Infiniti OZil®は従来の縦方向の超音波振動に加えて捻じれ振動のTorsionalという2種類の発振が可能なハンドピースをもつ装置である。

Torsionalの大きな利点は硬い核の破砕効率がよいこと、核を叩いて破砕しないので核をはじく作用Chatteringがないことによりスムーズな破砕を実現したことである。一方、問題点として従来の単純なストレート型のチップではTorsionalの効果がでないためケルマン型のUSチップを使う必要があること、硬い核を一気に破砕すると硬い核がUSチップに詰まるCloggingを起こしやすいこと、TorsionalUSチップが直接触れる組織(虹彩、角膜など)にダメージを与えやすいことなどがある。これらは慣れない術者が抵抗を感じる。この装置は実際には従来の縦振動USTorsionalをそれぞれ単独で使うことから複雑に組み合わせて使うことが可能である。また様々なUSチップが開発されてきている。筆者の経験からこれらハードウエアとソフトウエアをうまく利用することにより安全で快適にこの装置の特徴を生かす方法を探っていきたい。


FortasTM CV-30000の使用経験

講演者:藤澤 邦俊海老名総合病院


1995年 北里大学医学部卒

1996年 北里大学眼科学教室 入局

1997年 神奈川県厚生連相模原協同病院

2002年 北里大学眼科学教室 助教

2004年 海老名総合病院眼科 医長

2006年 北里大学医療系研究科博士号

2006年 海老名総合病院眼科 部長


        日本眼科学会認定専門医

        北里大学医療衛生学部非常勤講師

        日本体育協会公認スポーツドクター


Fortas TMCV-30000NIDEK社)は、当院で2005年より導入されたCV-24000の後継モデルである。この装置はCV-24000同様、白内障および硝子体手術が可能である。

新しいFortasポンプとETSExquisite Tubing System)チュービングシステムにより、IAの吸引立ち上がりの向上やサージの減少を実現した。USではVIS(Variable Intervals & Strokes)APS-Plus(Auto Pulse System Plus)により、核の保持力・吸引効率を改善し、効率のよい核破砕が安全に行えるという。さらに、ナビモードやシーケンシャルモード、Eモードなどのソフトウェア機能により、セッティングから手術の遂行までユーザーフレンドリーな装置となっている。

今回、Fortasの様々な新機能について検証し、白内障手術における使用経験を中心に紹介したい。


WHITESTAR Signature™の使用経験

講演者:大木 孝太郎(医療法人社団 創樹会 大木眼科)

 

1979    東京慈恵会医科大学卒

1984    米国イリノイ州立大学

1996    大木眼科院長

その他、   埼玉医大非常勤講師

               山口大学非常勤講師

               日本医科大学非常勤講師


今回新たに登場したSignatureの特徴は主に2つである。第一に、吸引ポンプシステムにペリスタルテイック・ポンプとベンチュリーポンプの二つの異なったポンプを単一機種に搭載した点である。どちらか一つのタイプのポンプを搭載したシステムが一般的であるが、本機種は二つのポンプを術者のコントロールにより切り替えながら使用することが可能になっている。この2種のポンプにはそれぞれ利点があり、上手く使いこなす事によって従来の装置に比べより安全で効率よく手術を遂行できる可能性がある。第二の特徴は、Ellipsと呼ばれる超音波破砕ソフトウエアである。これはいわゆるトーショナルフェイコに類似したものと考えられるが、従来のトーショナルフェイコではチップの動きはチップの長軸方向と交差する運動のみであったが、Ellipsでは長軸と交差する左右方向だけでなく、長軸に沿った前後方向へ同時に動くため、チップは3次元的に動き核を破砕していく。そのため進行した白内障などで非常に効率のよい核破砕を行う事ができると考えられている。これらにつき、実験結果などから解説する。


2)一般講演


モデレーター/石川 均(北里大学医療衛生学部)

昨年より眼科臨床機器研究会に一般講演が追加され、より幅広い最新の眼科臨床機器が紹介されるようになりました。

近年の白内障手術ではマルチフォーカルIOLや非球面レンズなどが普及し、屈折誤差を減らすためにより精度の高い多くのパラメーターを同時に評価する必要があります。しかし正確なレンズ度数が算出されようとも術者の技量向上がなければ無意味となります。熟練者は日々技術の進歩にまい進し、初心者は日々の反省からより高い技術を習得していただきたいと思います。今回、この2つの難題に対し各専門分野からの演題を紹介させていただきます。

初めの演題は同時に9項目のパラメーターが測定可能なレンズスターLS900の紹介です。続いてのSMC(Surgical Media Center)は術中ビデオにリアルタイムに吸引や超音波の発振している状態などの波形が表示され、ビデオのみではわかりにくい前房内の状態を波形で可視化することが可能なシステムと聞いております。いずれも大変興味深く術前データ計測から術者のスキルアップへと流れが続き今からわくわくします。ご期待下さい。


◆ 演題:新しい光干渉眼軸長測定装置レンズスターLS900

講演者:安永 真彦(株式会社JFCセールスプラン)

 昨今の眼内レンズにおける多大な進歩は、同時に患者様のQOVに対する要求の高まりを反映している。しかし、いくら眼内レンズが高性能になろうとも、度数計算を誤れば高いQOVや満足度を得ることは出来ない。

 術後屈折誤差は光干渉眼軸長測定装置の登場により大幅に減少した。だが未だ或る程度の屈折誤差は存在し、更なる精度向上の方法が期待されている。

 ハーグストレイト社の新しい光干渉眼軸長測定装置レンズスターLS900の特長は、一度の測定に於いて眼軸長の他に角膜屈折力や角膜厚など、全9種類ものbiometry測定が可能な事である。測定項目が多い事により今後、それらを用いたより精度の高いIOL度数計算式の登場する可能性に期待がかかる。

 講演では本装置の詳細について更に詳しく述べる。


◆ 白内障手術教育におけるSMC(Surgical Media Center)の有用性

講演者:松島 博之(獨協医科大学)

SMCSurgical Media Center)は従来のオーバーレイでは得られなかった白内障手術中の連続的なPEA装置の動きを手術画面とシンクロナイズさせてみることができるシステムである。このシステムを応用すると各術者の手術手技の様々な情報を可視化して得ることが出来る。 SMCを応用することで、術者の欠点を的確に把握し、短期間に手術手技のスキルアップを図ることが出来る可能性がある。これらの情報は、デジタルファイルとして記録が可能となっており、術者自身の手術を多角的に評価でき、手術後の指導をする上でもより具体的なデータと映像を用いての指導に役立つシステムとなっている。

当講演ではSMCについて紹介し、SMCの白内障手術教育での有用性についてWetlab、実際の手術等での実際の運用についても紹介する。


3)新しい眼圧測定装置


モデレーター 神谷 和孝(北里大学医学部眼科)

ゴールドマン圧平式眼圧計は現在でもスタンダードとして、臨床の現場で広く使用されている。本測定原理は Imbert-Fickの法則に基づくものであり、さまざまな前提条件を根拠として算出される。したがって通常の測定では臨床上問題となりにくいが、非生理的角膜形状を有する眼では測定誤差を生じるのはやむを得ない。実際に屈折矯正手術後眼圧は見かけ上低く測定されることが知られており、角膜厚や角膜曲率により補正する試みも行われているが、十分な結果を得るには至っていない。近年、新しい概念を用いた角膜生体特性の影響を受けにくい眼圧測定装置がさまざま開発されている。本セッションでは、Dynamic Contour TonometerTM, Ocular Response AnalyzerTMに代表される新世代の眼圧計に焦点を当てて、測定原理・方法から結果の解釈について3人のエキスパートの先生方に講演いただき、眼圧測定の現状や今後の可能性について考えたい。


◆ 進化した眼圧計

講演者:芝 大介(慶應義塾大学医学部眼科)

 

2000年 慶應義塾大学医学部卒業
2000
年 慶應義塾大学病院 眼科研修医
2002
年 国立成育医療センター第2専門診療部 眼科レジデント

2003年 静岡赤十字病院眼科
2004
年 大阪厚生年金病院眼科 緑内障フェロー
2006
年 慶應義塾大学医学部眼科 助教

  ゴールドマン圧平式眼圧計は50年間にわたって眼圧計の標準であり続けてきた。現在でも我々眼科医が最も信頼できる眼圧計である。中心角膜厚を520μmとする前提など、眼圧に関する理解が深まるとともに限界も見えてきた。

 近年、正常眼圧緑内障や高眼圧症における眼圧の過小評価、過大評価の臨床的意義も明らかになり、さらに角膜屈折矯正手術も普及してきた。角膜の影響を受けにくい、真の房水圧により近い眼圧値が得られる眼圧計が求められている。

 本講演ではOcular Response Analyzer(Reichert Ophthalmic Instraments)Dynamic Contour Tonometer(Swiss Microtechnology)といった新世代の眼圧計と従来の眼圧計との比較結果を述べたい。


◆ 新しい眼圧測定器を用いた正常眼圧緑内障(NTG)の眼圧値

講演者:森田 哲也(北里大学医学部眼科)

 

1997年 北里大学医学部卒業、北里大学病院眼科入局

1999年 東芝林間病院眼科

2000年 北里大学病院眼科

2002年 眼科専門医取得

2003年 医学博士号取得、北里大学医学部助手、眼科医局長

2007年 北里大学医学部助教


GATの測定値は角膜生体力学特性に影響を受ける。近年、これらの影響を受けにくい測定原理のDynamic Contour Tonometer (DCT)Ocular Response AnalyzerR (ORA)が臨床応用されつつある。そこで、NTG眼における眼圧測定値を健常眼と比較検討した。健常眼では、GAT値、DCT-IOP値、補正眼圧値であるORA-IOPcc値、GAT方式で換算したORA-IOPg値に有意差を認めなかった。NTG眼では、ORA-IOPcc値はGAT値、DCT-IOP値、ORA-IOPgより有意に高値であった。また、NTG眼は健常眼と比較し①補正眼圧値であるIOP-CC値が有意に高値②角膜の粘性を示すORA-CH値および弾性を示すORA-CRF値は有意に低値であった。NTG眼では角膜の粘性・弾性が低下していることにより、眼圧値が過小評価されている可能性がある。


◆ 屈折矯正手術におけるOcular Response AnalyzerTMの応用

講演者:大本 文子(北里大学大学院医療系研究科)


1994  米国Creighton University,

             School of Medicine 卒業

1997  米国Creighton University,

             Family Practice Residency 終了

             American Board of Family Practice 専門医取得

1999  北里大学 眼科学教室入局

2006  北里大学大学院医療系研究科 臨床医科学群眼科学


角膜生体力学特性は,LASIKlaser in situ keratomileusis)に代表される屈折矯正手術における安全性や予測精度にも影響を及ぼす可能性が指摘されている。さらに,屈折矯正手術後の重篤な合併症の一つとして医原性角膜拡張症(iatrogenic keratectasia)が挙げられるが,角膜生体力学特性が著しく低下することが原因と考えられている。しかしながら,これまでin vivoにおける測定方法が十分に確立されておらず,臨床における本特性の評価は極めて困難であり,本症の診断や進行・重症度の判定においてトポグラフィーによる副次的な評価が主体であった。今回新たに開発されたOcular Response AnalyzerTM (Reichert)によって,角膜生体力学特性を定量的に評価することが臨床上可能となった。今回は,屈折矯正手術や白内障手術における角膜生体力学特性を経時的に検討し,得られた知見を紹介する。



展示機器のご紹介


日本アルコン株式会社


 INFINITI Vision System



AMOジャパン株式会社


WHITESTAR Signature


株式会社JFCセールスプラン

   レンズスターLS900


株式会社ニデック


Fortas CV-30000


アールイーメディカル株式会社

   

 Dynamic Contour Tonometer

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第10回眼科臨床機器研究会(2009年9月26 日)

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