9回眼科臨床機器研究会


日時:20081122日(土)  15:3018:30

会場:パシフィコ横浜 アネックスホール


合同開催:The IRSJ 2008

日眼専門医事業認定番号:12745


主催 眼科臨床機器研究会

共催 日本眼科医療機器協会

会長 庄司 信行(北里大)


プログラム


1)フェムトセカンドレーザーの眼科手術への応用

                                                        モデレーター/神谷 和孝(北里大)

フェムトセカンドレーザーの基本原理                      神谷 和孝(北里大)

・フェムトセカンドレーザーのLASIKへの応用

                                                    北澤 世志博(神奈川クリニック眼科)

・フェムトセカンドレーザーの角膜移植への応用

                                                                   稗田 收(バプテスト眼科)


2)一般講演                                       モデレーター/市邉 義章(北里大)

LASIK術後のIOL度数計算精度向上と瞳孔範囲平均角膜屈折力

                                                                      平松 浩之(㈱二デック)

・電子瞳孔計プロシオンP3000              安永 真彦(㈱JFCセールスプラン)


3)瞳孔の新しい解析と眼科への応用         モデレーター/石川 均(北里大)

対光反応と色特性 —Iriscorder dualによる検討—        浅川 賢(北里大)

・ゴーグル型瞳孔視野計の開発と新しい評価      前田 史篤(川崎医療福祉大)

・瞳孔とMultifocal IOL                                             飯田 嘉彦(北里大)


1)フェムトセカンドレーザーの眼科手術への応用

 モデレーター/神谷 和孝(北里大)

フェムトセカンドレーザー(FSL)は従来laser in situ keratomileusis (LASIK)におけるフラップ作成に使用されていたが、マイクロケラトームよりフラップ作成に時間を要すことやdiffuse lamellar keratitisDLK)の問題が指摘されていた。近年、本装置の発展は著しくこれらの問題はほとんど解決され、確実に普及しつつある。また、任意の深さや方向で正確な切除が可能であることから角膜内リングや角膜移植にも応用されていて、手術自体の安全性の向上や術後乱視の軽減に貢献している。本セッションでは、FSLの特性からLASIKや角膜内リング・角膜移植への臨床応用に至るまで理解を深め、現状の問題点や将来性について検討したい。


フェムトセカンドレーザーの基本原理

講演者神谷 和孝北里大

 

1993年 神戸大学医学部医学科卒業
1993
年 東京大学医学部眼科学教室入局
1996
年 東京大学医学部眼科学教室助手 
2003
年 公立学校共済組合関東中央病院眼科部長
2006
年 北里大学医学部眼科学教室専任講師

フェムトセカンドレーザー(FSL)は、近年最も進化を成し遂げたレーザーテクノロジーの一つであり、眼科領域にも広く応用されている。最新型の150KHzFSLIntraLase iFS, AMO社)ではフラップ作成に10秒も要せず、任意の厚さのフラップが高精度に作成可能である。また、学習曲線が短く、バイオメカニクスや生体適合性の観点からも優れている。本講演では、FSLの基本原理について解説し、”photodisruption”という概念や何故任意の深さや方向で自由自在に角膜組織をアレンジできるのかを検証したい。


◆ フェムトセカンドレーザーのLASIKへの応用

講演者:北澤世志博(神奈川クリニック眼科


1990    福井大学医学部医学科卒業後、

               東京医科歯科大学医学部眼科入局

1995    東京医科歯科大学医学部眼科助手 

2000    東京医科歯科大学医学博士取得

               総合病院眼科部長を経て、神奈川クリニック眼科入職 

2003年- 神奈川クリニック眼科診療部長

1999年-2001年 東京医科歯科大学医学部眼科

               非常勤講師(兼任)

2004年- 東京医科大学医学部眼科客員講師(兼任)

 近年LASIKは、フェムトセカンドレーザー(以下FSレーザー)でフラップを作るフェムトセカンドLASIKに移行している。フェムトセカンドLASIKでは精度良く安全にフラップができ、90100μmthin flap LASIK(sub Bowman’s LASIK)が可能であるが、角膜厚に余裕がない症例で確実に薄いフラップができ、術後視力回復が早くドライアイやkeratectasiaのリスクが少ない利点がある。またFSレーザーは、LASIK以外に円錐角膜や角膜移植にも使用されている。円錐角膜の外科的治療のひとつに角膜内リングがあるが、以前は角膜内リング挿入のトンネルを専用のブレードで機械的に作っていたが、手技が煩雑で普及しなかった。しかしFSレーザーでは、トンネルが簡単にでき術後成績も大幅に向上したので、再び円錐角膜に対する角膜内リングが注目されている。本講演では、FSレーザーのLASIKと角膜内リングへの応用について話す。


◆ フェムトセカンドレーザーの角膜移植への応用

講演者:稗田  牧 (バプテスト眼科クリニック) 


1993年 京都府立医科大学眼科 研修医

1994年 京都市立病院 眼科 研修医

1996年 社会保険京都病院 眼科 医員

1997年 町田病院 眼科 医員

1998年 京都府立医科大学大学院

2002年 京都府立医科大学 眼科 助手

2005年 バプテスト眼科クリニック 院長

フェムトセカンドレーザーIntraLase FS60 AMO社製)は波長1,053nmの近赤外線レーザーで、焦点外の角膜組織は通過し、超短パルスの特性から瞬間ピーク出力が大きくなり、焦点の合った照射組織のみを蒸散させ、周辺組織に熱拡散の影響を及ぼさない。角膜移植に用いることで、角膜切断面を複雑な形状かつ同一形状にすることができるので、移植片の生体適合性が良好になり、術後乱視の減少が期待されている。我々は水平層状切開(lamellar cut)を角膜表面から250マイクロの深さに設定して表層角膜移植術を施行した。また、lamellar cut300マイクロの深さに径約8mm1mmでドーナツ状に作成し、その前方と後方に、角膜表面に対し30度傾いた斜切開(side cut)を行なうことで、ジグザグ切開を行い、全層角膜移植術を施行した。角膜移植片は透明であり、合併症は認めていない。


2)一般講演


モデレーター/市邉 義章(北里大)

ただ「見える」ではなく「見え方の質」を問われる時代となり、その「質」の向上のためにさまざまな研究、あるいは機器の開発がなされてきた。中でも「瞳孔」は神経眼科学の領域を超え、屈折矯正学の分野においても、その重要性が認識されている。今回の一般講演では、今後われわれ眼科医がその患者を診ることになるであろう「LASIK術後のIOL度数計算」について、そして「瞳孔径の正確な計測」に関する2題をお話いただく。更なる「見え方の質」の向上のため、活発なご討論をお願いしたい。


LASIK術後のIOL度数計算精度向上と瞳孔範囲平均角膜屈折力

講演者:平松浩之1)、磯谷尚輝2)、中村友昭2)、根岸一乃3)

1)    株式会社ニデック 医療機器開発部

2)    名古屋アイクリニック

3)    慶応義塾大学 医学部 眼科学教室

【目的】現在、Laser in situ keratomileusisLASIK)の手術件数は日本でも増加傾向にあり、将来にはLASIK術後の白内障手術症例を誰もが経験することは明白である。これに伴い白内障手術の際に使用するIOL度数計算精度の向上が望まれる。今回弊社が開発したIOL-StationソフトウェアにLASIK術後のIOL計算を含む、Camellin-Calossi 式を搭載したので、この式の評価結果を報告する。【対象及び方法】慶応大学病院及び名古屋アイクリニックにてLASIK術後に白内障手術を行った16症例、平均年齢:52.6±9.0歳(3461歳)に対し、実際に挿入されたIOLにて得られた術後屈折誤差と各計算式の予想屈折値の誤差を比較。また、その誤差が±1D以内に収まる割合についてレトロスペクティブに検討した。また、瞳孔範囲平均角膜屈折力(Averaged pupil power: APP)をK値に代えて計算を行うことで結果が上記同様に誤差比較と±1D以内に収まる割合について検討した。【結果】Aモードによる測定値を使用したCamellin-Calossi式で屈折矯正度数履歴を入力する方法では、0.69D±0.4776.5%。屈折矯正履歴を必要としない方法では、0.85D±0.6368.8%と予想性が非常に優れていることが示唆された。また、瞳孔範囲平均角膜屈折力(APP)をIOL計算に用いる場合には、計算式を選ぶ必要があることが示唆された。


◆ 電子瞳孔計プロシオンP3000

講演者:安永 真彦(㈱JFCセールスプラン)


 以前は神経眼科の領域で取り上げられる事が多かった瞳孔径は、近年では白内障手術や屈折矯正手術におけるQuality of Visionに大きく関わるファクターとして、検査の必要性・重要性が急速に高まりつつ有る。

 瞳孔径を正確に計測する事は、実は案外難しい。何故なら瞳孔は様々な要因で常にその大きさを素早く変化させているからである。よって瞳孔径を正確に計測するには、瞳孔径の変化を促す様々な外的要因を排除し、同時に排除出来ない生体反応的瞳孔径変化を平均化させて実用精度を上げるしかない。

 ハーグストレイトUK社のプロシオンP3000は、瞳孔径をより正確に計測するための様々な工夫が為された赤外光式電子瞳孔計である。

計測時に本装置と顔を密着させる設計は、外界からの光を完全遮断し測定値の再現性向上に寄与している。また本装置は、片眼遮蔽による単眼視散瞳を招かない両眼開放型にして両眼同時計測タイプであり、更に光刺激による直接性瞳孔反応の観察を行う事から、より実用精度の高い計測が可能であると考えられる。更に、単静止画解析ではなく連続フレーム動画で瞳孔を観察し、僅かな散大・縮小を平均化して計測値を求めるので、瞳孔変動による測定誤差を排除した実用瞳孔径を得ることが期待できる。

講演では本装置の特長を更に詳しく述べる。


3)瞳孔の新しい解析と眼科への応用

モデレーター/石川 均(北里大)

瞳孔の役割は縮瞳による眼内への光量調節、焦点深度を深め収差によるボケを減少させることが従来より知られている。しかし近年の研究よりサーカディアンリズム調整に瞳孔は重要な役割を担っていることが分かってきた。その他、瞳孔反応を用いて視野を他覚的に評価する研究も活発に行われている。一方、近年の屈折矯正手術の進歩は目覚しく単なる視力向上のみならずquality of visionの向上に瞳孔の重要性が再認識されている。本研究会ではこれら瞳孔に関しての最もホットな話題を3名の新進気鋭の若手の先生にお願いし紹介していただくこととした。瞳孔に関しての話題はとかく難解、専門的になりがちであるが、ご自分の研究分野での瞳孔に関する話題を分かり易く、楽しく、万人のための瞳孔講座としてお話をお願いした。乞うご期待!


◆ 対光反応と色特性 -Iriscorder Dualによる検討-

講演者:浅川 賢(北里大学大学院 医療系研究科 眼科)

 

20033    北里大学医療衛生学部

                     リハビリテーション学科視覚機能療法学 卒業

20034    国際医療福祉大学附属熱海病院

                     眼科・リハビリテーション科 入職

20073    北里大学大学院医療系研究科

                     視覚情報科学(修士課程)修了

20074    北里大学大学院医療系研究科

                     眼科学(博士課程)在学中

ヒトの光受容体は錐体と杆体のみと考えられていたが、近年、メラノプシンと称される視物質を持つ、新たな光受容体が網膜神経節細胞から発見された。メラノプシンは高輝度かつ青波長の光刺激に対して選択的に応答し、瞳孔の調整(対光反応)や体内時計の同調、メラトニン産生の抑制を担う。メラノプシン含有網膜神経節細胞由来の対光反応は従来の経路とは異なり、サーカディアンリズム中枢の視交叉上核を経由する。また視細胞由来のものとは感度や時間特性が異なるため、潜時が長く、光刺激中や刺激後でも持続的に反応する。ヒトでの検討は選択的応答の最適輝度が不明であること、視細胞の影響を除外することが現時点の懸案である。

今回、Iriscorder Dualを用い、若年者にて最適輝度や日内変動を検討すると共に、色特性による対光反応の差が疾患の鑑別に有用と考え、黄斑変性や緑内障症例で検討を行った。講演ではそれらの結果と臨床応用の可能性について述べる。


◆ ゴーグル型瞳孔視野計の開発と新しい評価

講演者:前田 史篤(川崎医療福祉大 感覚矯正学科 


19993  川崎医療福祉大学 感覚矯正学科卒業

20013  川崎医療福祉大学大学院

                 医療技術学研究科修士課程修了

20014  川崎医療福祉大学 感覚矯正学科助手

                 川崎医科大学附属病院眼科 視能訓練士併任

20073  川崎医療福祉大学大学院

                 医療技術学研究科博士後期課程修了

20074  川崎医療福祉大学 感覚矯正学科講師

                 川崎医科大学附属病院眼科 視能訓練士併任

我々が現在開発中のゴーグル型瞳孔視野計 (松下電工) について紹介する。本機器のゴーグルは小型かつ軽量で可搬性があり,被検者は任意の姿勢で他覚的に視野の測定を行うことができる。また内部には,刺激用の小型液晶パネルと記録用の赤外線CCDカメラを各眼に内蔵しており,両眼の同時記録と刺激が可能である。刺激は液晶パネルを用いているので,刺激の色やサイズ,形状,呈示時間,呈示部位,頻度等を機能上の範囲内で可変できる。

瞳孔視野測定が未だ実用化に至っていない最たる理由は,瞳孔の反応には,ばらつきと個人差が大きく,他者との比較評価が難しいことにある。本研究では個体内反応の比較として,swinging flashlight testのような左右各眼刺激によるrelative afferent pupillary defectの評価に加え,同一眼の上下半視野刺激に対する周期的交互刺激の反応についても検討したい。


◆ 瞳孔とMultifocal IOL

講演者:飯田 嘉彦(北里大) 

2001  北里大学医学部 卒業

             北里大学病院眼科 入局

2002  山王病院 眼科

2007  北里大学大学院医療系研究科博士課程 修了

2008  北里大学医学部 助教

瞳孔は「絞り」の作用を有し、収差や焦点深度に影響を及ぼし、明視域を変化させる。

屈折矯正手術や非球面IOLMultifocal IOLなどが普及していくなかで、瞳孔径の評価に対する関心が高まっている。

白内障術後の視機能を評価する際、特に屈折型Multifocal IOLの場合はその構造上、光学部を有効利用するために瞳孔径の確保が重要である。瞳孔径を正しく評価し、適応を判断することが術後のQuality of Visionに直結すると言っても過言ではない。

瞳孔径は加齢、照度、単眼視か両眼視か、遠見か近見か、見かけの瞳孔径(入射瞳)か実瞳孔径か、など様々な要因により影響を受けることを把握することが重要である。さらに両眼視下では眼位も瞳孔に影響する要因の一つとして考える必要がある。

今回は眼位異常(斜位角度)が瞳孔径に影響を及ぼしたと考えられるMultifocal IOL挿入眼の症例を呈示し、瞳孔に影響を及ぼす要因を今一度整理し、臨床で使用される瞳孔径測定機器の特徴や注意点、今後の新しい瞳孔径測定機器への要望について述べたい。


展示機器のご紹介


浜松ホトニクス株式会社


イリスコーデュアル C10641



AMOジャパン株式会社


IntraLase FS laser


株式会社JFCセールスプラン

   電子瞳孔計プロシオンP3000


             複合型視機能検査機

             オプティックビジョンテスタ6500

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第9回眼科臨床機器研究会(2008年11月22 日)

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