第7回眼科臨床機器研究会
日時:2006年11月18日(土) 15:30~18:30
会場:パシフィコ横浜 アネックスホール
合同開催:The IRSJ 2006
日眼専門医事業認定番号:12745
主催 眼科臨床機器研究会
会長 庄司 信行(北里大)
第7回眼科臨床機器研究会
日時:2006年11月18日(土) 15:30~18:30
会場:パシフィコ横浜 アネックスホール
合同開催:The IRSJ 2006
日眼専門医事業認定番号:12745
主催 眼科臨床機器研究会
会長 庄司 信行(北里大)
プログラム
1)前眼部解析測定装置 OCULUS PENTACAM
モデレーター/神谷 和孝(北里大)
・前眼部解析測定装置OCULUS PENTACAMの
新しい解析プログラム 本村 宗平(中央産業貿易株式会社)
・前眼部解析測定装置OCULUS PENTACAMの
後房型有水晶体眼内レンズ挿入術への応用 相澤 大輔(北里大)
・前眼部解析測定装置OCULUS PENTACAMの臨床応用
宮井 尊史、松永 次郎、宮田 和典(宮田
2)レーザ走査型眼底検査装置 HRA2
モデレーター/高野 雅彦(北里大)
・HRA2の原理と特徴 石山 好松(ジャパンフォーカス株式会社)
・HRA2の使用方法と画像の読み方 森 隆三郎(駿河台日本大学病院)
・HRA2でみる眼底疾患 石龍 鉄樹(福島県立医科大)
3)自動動的視野計 オクトパス101 GKP
モデレーター/森田 哲也(北里大)
・自動視野計と動的視野測定 松本 長太(近畿大)
・オクトパス101 GKPの実際 若山 暁美(近畿大)
・オクトパス101 GKPの使用経験
林 康司、秦 誠一郎、坂詰 明美、尾崎 千恵(スカイビル
1)前眼部解析測定装置 OCULUS PENTACAM
モデレーター/神谷 和孝(北里大)
近年、Scheimpflug型前眼部解析装置Pentacamの登場により、従来の角膜前後面形状解析、角膜厚、前房深度の計測のみならず、新たに角膜体積・前房容積・眼内レンズ位置の計測、角膜・水晶体混濁の定量等が可能となった。本装置の計測や解析は比較的簡便であり、測定精度も高いため、今後さまざまな前眼部疾患への応用が期待されている。このセッションでは、本村先生に測定原理・方法、新たな解析プログラムについて、宮井先生に薬剤が角膜に及ぼす影響、屈折矯正手術後の眼内レンズ度数決定について、相澤先生に有水晶体眼内レンズ挿入後の位置評価について講演いただき、本装置の特性および臨床への応用について理解を深め、現状の問題点や将来性について検討したい。
◆ PENTACAMの新しい解析プログラム
講演者:本村 宗平(中央産業貿易株式会社)
1996年 中央産業貿易株式会社 医療器事業部
西日本営業部 大阪販売課 入社
前眼部解析測定装置OCULUS PENTACAM(以下Pentacam)は2002年にOrlandoで開催されたAmerican Academy of Ophthalmologyで発表されて以来,常に大きな関心を集めており、世界的に普及しつつある。日本でも現在100以上の病院、診療所で稼動している。
Pentacamは、回転式Scheimpflugカメラであり,最大25,000ポイントの真のハイトデータをもとに前眼部の3Dモデルを作成し,角膜前面・後面のトポグラフィー,角膜厚,前房隅角,前房容積,前房深度等を算出する。最新のバージョンでは,トモグラフィー,Intra Ocular Pressure補正,円錐角膜検出プログラム,Zernike解析,屈折矯正手術既往眼に挿入するIOLの度数算出に役立つプログラムであるHolladay Reportも追加された。今後,さらにバージョンアップを重ね,いっそうの前眼部解析プログラムの充実に期待したい。今回,Pentacamとはどのような装置なのか,さらには,将来どのように進化していくのかを紹介したい。
◆ PENTACAMの後房型有水晶体眼内レンズ挿入術への応用
講演者:相澤 大輔(北里大)
1999年 北里大学医学部 卒業
北里大学病院 眼科入局
2000~2002年 山王病院 眼科
2004年 北里大学大学院 修了(博士(医学))
眼科専門医
2005年 北里大学医学部 助手
近年、強度近視性乱視に対する新たな屈折矯正手術の一つとして、有水晶体眼内レンズ挿入術が注目を集めている。われわれの施設では、後房型の有水晶体眼内レンズ(ICLTM、STAAR Surgical社)を用いているが、手術適応およびレンズサイズの選択は手術を成功させる上で重要なポイントとなる。これまでは、角膜形状解析装置としてOrbscan(Bausch&Lomb社)を使用していたが、Scheimpflug型前眼部形状解析装置Pentcam(OCULUS社)は角膜前後面形状解析・前房深度測定に加え、レンズから水晶体前面までの距離(Vaulting)など有用な位置情報が得られ、術後の経過観察にも応用が期待される。このセッションでは、有水晶体眼内レンズ挿入術の術前後におけるPentacamの有用性について検討したので報告する。
◆ PENTACAMの臨床応用
講演者:宮井 尊史、松永 次郎、宮田 和典
(宮田
1999年 東京大学医学部 卒業
1999年 東京大学医学部付属病院 眼科研修医
2001年 国保旭中央病院 医員
2003年 宮田眼科病院 勤務
前眼部測定解析装置Pentacam(Oculus社)は、回転型Scheimpflugカメラの原理を用いて前眼部を撮影、三次元画像を立体構築して解析する機器である。その特徴として、角膜屈折力、角膜厚、角膜体積、前房深度、前房容積、隅角角度、角膜及び水晶体の混濁度などを定量化することが可能である。今回、それらの機能の中で、角膜厚及び体積を定量化できる機能を用い、白内障術後の抗炎症剤による角膜に与える影響について調べる目的で、角膜体積及び、上方、中心、下方、耳側、鼻側の角膜厚の変化について検討した。また、Pentacamは、角膜屈折力を前後面の屈折率が考慮されたTrue Net Powerとして算出する。Pentacamは回転式に角膜を測定するので、光学的に重要な角膜中心部付近の測定ポイントが多く、より正確な屈折力データが得られることが期待されている。そこで、偏心が強い屈折矯正術後の白内障手術で度数ずれを生じた症例などで、角膜屈折力データを用いたシュミレーションも行ったので併せて報告する。
2)レーザ走査型眼底検査装置 HRA2
モデレーター/高野 雅彦(北里大)
蛍光眼底造影は網脈絡膜疾患の診断・治療において欠かすことの出来ない検査であり、特にインドシアニングリーン蛍光造影は、加齢黄斑変性の診断に有用であることは言うまでもありません。このたび発売されたHRA(Heidelberg Retina Angiograph)2は、レーザー共焦点走査システムを用いた蛍光眼底撮影装置で、従来機種に比較して高解像度、高コントラストのデジタル画像を取得出来ることを特徴としています。
今回は、HRA2の基本原理と特徴を㈱ジャパンフォーカス技術部の石山 好松氏に、画像の理解を日大駿河台の森 隆三郎先生に、さらに眼底疾患の臨床所見について福島県立医大の石龍 鉄樹先生にお願いしています。このセッションを通じ、HRA2の原理と画像所見について理解を深めていただき、日々の臨床に役立つことを願っております。
◆ HRA2の原理と特徴
講演者:石山 好松(ジャパンフォーカス株式会社)
1979年 向島工業高校電気科卒業
1990年 ジャパンフォーカス株式会社入社
1996年 (財)医療器センター 医療用具専業修理業
責任技術者取得
ハイデルベルグエンジニアリング社(ドイツ)のHeidelberg Retina Angiograph2(以下HRA2)は共焦点レーザ走査型顕微鏡を用いた蛍光造影撮影装置で、既に発売されているHRAの後継機種にあたる。HRA2はHRAと比較してPixel解像度は9倍に向上し、FA励起用にはサファイアレーザーを搭載して小型化を計っている。また、共焦点レーザによる蛍光造影撮影は、焦点面以外の反射光及び散乱光を除去するため、高コントラストの蛍光造影画像が得られる。 ここではHRAとHRA2の比較、共焦点レーザ走査の原理、技術的な特徴、そして新しい機能について述べる。
◆ HRA2の使用方法と画像の読み方
講演者:森 隆三郎(駿河台日本大学病院)
1995年 日本大学医学部卒業
日本大学眼科学教室入局
2001年 日本大学医学部助手
2004年 ベルギーGENT大学眼科 留学
2005年 日本大学医学部助手
HRAは、共焦点走査レーザーシステムでコントラストの良い眼底像が得られる。HRA2は、従来使用されていたHRAの後継機種で、前機種に比べ画像の解像度が向上し、カメラ本体及びレーザーボックスが小さくなっている。
フルオレセイン蛍光造影(FA)とインドシアニングリーン蛍光造影(IA)を単独もしくは同時にデジタル撮影でき、画像は高解像度でデジタル化される。動画も鮮明で同時撮影が可能である。IAは、脈絡膜血管の早期像が鮮明で、加齢黄斑変性(AMD)、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、網膜血管腫状増殖(RAP)の診断や治療法の選択に有用である。さらに、フルオレセインを励起するのに用いる488nmの波長のレーザーにより撮影される自発蛍光画像(Autofluorescence:AF)も鮮明で網膜色素上皮のリポフスチンの分布を把握しやすい。本講演では、HRA2の使用方法とHRAおよびHRA2の画像の読み方について述べてみたい。
◆ HRA2でみる眼底疾患
講演者:石龍 鉄樹(福島県立医大
共焦点レーザーシステムでは焦点面の光だけを検出するため光学切片のような画像を得ることができる。HRA2は共焦点レーザーシステムを用いた眼底撮影装置で、コントラストの高い眼底撮影が可能である。このため通常の眼底カメラでは捉えにくい眼底自発蛍光も容易に撮影することができる。通常の蛍光眼底造影は低照度でできるため、動画による連続撮影も患者に負担を与えない。インドシアニングリーン蛍光造影は従来の眼底カメラでは網膜蛍光や散乱蛍光の影響を受けるが、HRAでは焦点面のみでの画像を捉えるため鮮明な脈絡膜血管像が得られ、脈絡膜疾患の診断には威力を発揮する。従来の機種に比較し、HRA2では解像度が高くなり、更に50°の画角での眼底撮影が可能になるなど機能が追加されたため、糖尿病網膜症などの広がりを持つ眼底病変に対しても応用範囲が拡大した。
講演ではHRA2の画像、映像を供覧し、臨床応用について紹介したい。
3)自動動的視野形 オクトパス101GKP
モデレーター 森田 哲也(北里大)
周辺視野の評価が必要な、例えば視神経疾患や緑内障末期の患者様に対し、通常の自動視野計よりもゴールドマン視野計を用いた方がより正確な結果が得られることは周知の事実である。しかし手動であるゴールドマン視野計での検査結果は、検者の技量に影響される点と、年齢別正常値などのデータベースと比較できない点が短所として上げられる。オクトパス101は、自動静的視野測定と手動動的視野測定が融合したGKPというプログラムを内蔵している。GKPは、半自動で全90度の動的視野検査が可能という大きな利点に加え、静的視野測定結果から周辺イソプターの作成を補足、年齢別正常イソプターとの比較等、多彩な機能を有す大変興味深い検査機器である。このセッションでは、機器の紹介から操作方法、有用性、ゴールドマン視野計との比較、使用経験等を3人の先生方にご講演いただき、GKPの展望を皆様と共に考えたいと思う。
◆ 自動視野計と動的視野測定
講演者:松本 長太(近畿大学医学部
1983年 近畿大学医学部卒業
1989年 近畿大学大学院医学研究科修了
多根記念眼科病院
1990年 近畿大学医学部眼科講師
1998年 TheJ ohns Hopkins Hospital,
The Wilmer Eye Institute 留学
国際視野学会board member
1999年 近畿大学医学部眼科助教授
2006年 国際視野学会vice-president
視野検査は、
◆ オクトパス101 GKPの実際
講演者:若山 曉美(近畿大学医学部附属病院)
1986年 国立大阪病院附属視能訓練学院卒業
近畿大学医学部附属病院勤務
1993年 近畿大学医学部附属病院退職
川崎医療福祉大学 感覚矯正学科入学
1997年 川崎医療福祉大学 感覚矯正学会卒業
近畿大学医学部附属病院勤務
2006年 近畿大学医学部附属病院視能訓練士主任
オクトパス101 GKPは、ゴールドマン視野計と同じ測定条件を用いながら半自動で測定できる自動動的視野測定プログラムである。その特徴は、視標提示位置や方向、速度を検者が決定後、コンピュータ制御で視標が提示され、被検者の応答を自動的に記録できることである。またゴールドマン視野計では不可能であった被検者の反応時間を測定し、検査結果に反映することができ、イソプターの面積を解析することが可能となった。オクトパス101 GKPの測定は、患者情報を入力後、自動的に視標輝度、背景輝度の設定が行われ、ゴールドマン視野計のパンタグラフの代わりにマウスやタッチペンを用いて行う。オクトパス101 GKPでは手動動的視野測定を使用することで、ほぼゴールドマン視野計と同様に検者が考える測定戦略を実施することが可能である。また教育トレーニングプログラムとして異常視野のシミュレーションが組み込まれており検者は測定戦略を学習することができる。今回は、手動動的視野測定を用いた具体的な操作方法を紹介し、オクトパス101 GKPとゴールドマン視野計を用いた動的視野測定を比較検討し、オクトパス101 GKPの有用性と問題点について述べる。
◆ オクトパス101GKPの使用経験
講演者:林 康司、秦 誠一郎、坂詰 明美、尾崎 千恵
(
1991 慶應義塾大学卒業
1991 慶應義塾大学眼科入局
1997 オリンピア眼科勤務
1999 国立病院東京医療センター勤務
2006 スカイビル眼科医院
オクトパス101GKPに動的視野の自動測定アルゴリズムを組み込み、正常眼27例27眼を対象に、視野の自動測定を行った。検査は日を変えて2回行い、指標はⅤ/4、Ⅰ/4、Ⅰ/2でイソプターの変化をみた。測定所要時間は平均で1回目が5分37秒、2回目が5分21秒であった。各指標のイソプタの内部面積を1回目と2回目で比較したところ、Ⅴ/4、Ⅰ/4では有意差がみられず、周辺視野の再現性は良好であった。本機器は前回測定アルゴリズムを再現し測定できるため、各イソプターの内部面積の比較評価が経時的に可能であり、また検者による測定結果のばらつきが抑えられるため、複数の検査員を抱える