第23回眼科臨床機器研究会


日時:202410月26日(土)  15:3018:30

会場:横浜シンポジア

 

ジョイント開催:The 27th IRSJ2024

日眼専門医事業認定番号:12745

 

主催 眼科臨床機器研究会

会長 庄司 信行(北里大)

事務局長 飯田 嘉彦(北里大)


講演  広角OCT DRI OCT Triton Pro

     ――――――――――― モデレーター:柳田 智彦 北里大)

1. Triton発売からの進化 講演者山田 勝啓 (㈱トプコンメディカルジャパン)

2. Triton Proの使用経験 講演者:河野 雄亮 北里大)

 

講演 . OCTと最新の視野計による緑内障管理

     ――――――――――― モデレーター:笠原 正行 北里大)

1. CIRRUS-5000OCTによる緑内障進行速度

講演者:小川 俊平 東京慈恵医大)

2. コーワAP7700の有用性 講演者:朝岡  亮 聖隷浜松病院眼科)

3. Imo vifa 講演者:野本 裕貴 近畿大)

 

講演 デジタルディバイスで患者を救う

     ――――――――――― モデレーター:平澤 一法 北里大)

1. Smart Eye Cameraで患者を救う 講演者:清水 映輔 株式会社OUI /慶應大)

2. 診断・治療用アプリの眼科臨床応用に向けた研究開発

講演者猪俣 武範 (順天大/順天大大学院医学研究科AIインキュベーションファーム)

3. 視覚障害者のICT活用とビジョンケア 講演者:三宅  琢(公益社団法人NEXT VISION)

1)広角OCT DRI OCT Triton Pro

モデレーター:柳田 智彦(北里大)
 トプコン社のDRI OCT Triton Pro は、最近普及し始めているスウェプトソース方式
のOCT で、従来のスペクトラルドメイン方式と比べ、スキャン速度が速く、高い組織侵
達性と深さ方向の信号低下が少ないことで、硝子体から脈絡膜、強膜までをより詳細に描
出できるようになっています。同社のDRI OCT Triton は2015年に発売されています
が、Triton Pro には広角OCT 撮影用アタッチメントレンズと、IMAGEnet6にSmart
Denoise というアプリケーションが追加されています。アタッチメントレンズを付ける
ことでより広範囲に撮影できるようになり、Smart Denoise でノイズの少ない画像が得
られるようになりました。
 講演Ⅰでは、まずトプコンメディカルジャパンの山田勝啓氏に機器の概要についてお話
していただき、次に北里大学の河野雄亮先生に使用経験を講演してもらうことになってい
ます。

1. Triton発売からの進化  講演者:山田 勝啓 (㈱トプコンメディカルジャパン)

 Triton は、2014年10月に世界初SS-OCT(Swept-source optical
coherence tomography)の「普及機」として発売されました。
 今回は、Triton の基本性能、特化した性能、追加された機能、オプ
ション機能(有償)、OCT Angiography に追加された機能、NEW モ
デル「Triton Pro」に追加された機能をご紹介させて頂きます。
1. SS-OCT はSD-OCT(Spectral-domain)と比較して、大きく2つ
の効果が有ります。
① SS-OCT 効果:深さ方向の信号減衰が少なく、硝子体から脈絡膜
強膜撮影が可能
② 長波長効果:高侵達=中間透光体混濁撮影に有利、被検者より不
可視、固視の安定
2. 無散瞳眼底カメラ(カラー眼底)との複合機、幅広いNormative
Data(12×9 ㎜)搭載
3. Triton plus モデルは、FA(蛍光眼底撮影)FAF(自発蛍光眼底撮影)
4. NEW モデルTriton Pro では、Smart Denoise(AI Denoise 機能)、
前眼部解析(隅角計測・角膜厚計測)まで可能と成り、全ての機種で
使用できるWA-1(広角撮影アタッチメント)も追加発売されました。
 Triton シリーズは、OCT 検査の多様化に伴い、検査の効率化を目指
して、進化を続けて行きます。
【利益相反公表基準】[ E] 株式会社トプコンメディカルジャパン[ E]
2. Triton Proの使用経験 講演者:河野 雄亮(北里大)

 OCT は黄斑部疾患や網脈絡膜疾患を含む様々な網膜疾患や、緑内障
の早期発見、経過観察、定量的評価を行う為に必須の検査機器である。
近年Swept Source 方式を採用したOCT が普及しており、その代表
がTOPCON 社のTriton Pro である。以前の機種と比べ高速撮影が可
能となり、AI によるノイズ除去処理(デノイズ)機能によりノイズの少
ない鮮明な画像の描出が可能となった。また、広角OCT 撮影用アタッ
チメントを使用することで21 ㎜のスキャン幅を持つ、OCT および
OCT-A の画像が取得可能である。今回はその使用経験について述べる。
【利益相反公表基準】 該当なし

2 OCTと最新の視野計による緑内障管理

モデレーター:笠原 正行(北里大)
 緑内障診療において、視野検査は進行速度を評価する上で最も重要な検査といえます。
しかし、構造的変化がメインの極早期緑内障においては、視野検査で機能的な変化を評価
することが難しい場合も少なくありません。また、視野検査がうまくできない症例におい
ても他覚的検査が重要となり、光干渉断層計(OCT)の進歩に期待が寄せられます。また、
視野検査の精度を向上させようとすると、検査時間が長くなり、患者、医療者側ともに負
担が生じておりました。本セッションでは、前半に、構造的な緑内障管理として、
CIRRUS-5000 OCT を用いた緑内障進行速度評価について御講演頂きます。後半では、
機能的な緑内障管理として、精度を落とさずに、より短時間での検査を目指した新しいア
ルゴリズムが搭載されているコーワAP7700の有用性について、最後に、コンパクトか
つ明所で行うことができ、独自の測定プログラムも搭載されたimo vifa について、3名
の演者に御講演頂きます。本講演が明日からのより良い緑内障診療につながることを期待
しております。

1. CIRRUS-5000OCTによる緑内障進行速度 講演者:小川 俊平(東京慈恵医大)

 緑内障の診断は“ 機能的・構造的異常” の整合性を総合的に判断する
ことで行われる。構造異常の評価法である光干渉断層計(OCT)の目覚
ましい進歩により、機能評価の静的自動視野検査(SAP)との間に異常
検出時期に差が生じ、前視野緑内障が定義された。自覚検査である
SAP には、検査精度、検査時間、患者疲労など、多くの問題が残され
ている。また、極初期や後期ではSAP での進行評価自体が出来ないこ
とも少なくない。このため、他覚検査で、かつ測定誤差の少ないOCT
に診断や進行評価のブレークスルーが期待されている。本講演では、当
院でのCIRRUS-5000を用いた緑内障診断後の進行判定についてお話
ししたいと考えている。
【利益相反公表基準】 該当なし

2. コーワAP7700の有用性 講演者:朝岡  亮 聖隷浜松病院眼科)

 緑内障診断において視野診断が重要なことは言うまでもありません。
視野検査にも様々なものがあり、その各々に一長一短がありますが、特
に近年ではハンフリー視野計に標準搭載されているSITA 法が1990年
代に開発され全点閾値法から世代交代したことは非常に革新的な出来事
でした。しかしその後視野測定アルゴリズムにはそれ以上の大きな進歩
は見られていませんでした。最近我々は「変分近似ベイズ推定法」と
いう緑内障視野感度をAI を用いて推定する方法を開発しました
(Beeline 社 HFA files ⓇにGlaPreⓇとして搭載)。コーワAP7700に
はこの方法による視野予測を用いることで、測定精度を落とすことなく、
SITA よりも高速に視野測定を行うアルゴリズム「Smart Ⓡ」が搭載さ
れています。本講演では、この変分近似ベイズ推定法による視野予測や
Smart Ⓡについてご紹介させていただきたいと思います。
【利益相反公表基準】[ F] Reichert technologies、Oculus、
興和、Nidek [P]

3. Imo vifa 講演者: 裕貴 近畿大)

 眼科臨床において、視野検査は視機能評価に重要な役割を果たしてい
ることは周知の通りです。現在、視野検査の際に最も頻用されているの
が自動静的視野計(SAP)であり、1970年代の登場以降、機器および
ソフトウエアの改良を経て現在に至っております。imo vifa は従来の
SAP と同じように自動静的視野検査を行う機器ですが、暗所が不要、
両眼開放下での同時検査、アイトラッキング機能搭載等の他には無い機
能が搭載されています。また、臨床でのニーズを意識した独自の測定プ
ログラム、測定点配置が使用されています。加えて、imo vifa は視野
検査だけでなく、コントラスト感度測定も可能で視機能検査機としての
位置付けを目指した機器となっています。本講演ではimo vifa の特徴
と今後の発展性について紹介したいと思います。
【利益相反公表基準】 該当なし

3 デジタルディバイスで患者を救う

モデレーター:平澤 一法(北里大)

 デジタルデバイスの発展により、眼科で使用される検査機器は著しく進歩しました。以
前の検査機器は大きくて重く、持ち運びができないため、患者が病院に来るのが当たり前
でした。デジタルデバイスの発展の代表的なものとしては、スマートフォンやタブレット
端末が挙げられます。現在のスマートフォンやタブレット端末は高解像度で軽量であるた
め、かつては考えられなかった遠隔診療が可能になりました。また、これらのデバイスは
多くの人が日常的に使用していることから、ロービジョン患者への補助具としても活躍し
ています。さらに、スマートフォンは国民のほぼすべてに普及しているため、ビッグデー
タを収集することも可能であり、これらのデータを解析することで患者にフィードバック
することも可能になりました。今回、デジタルデバイスを臨床応用している日本を代表す
る先生方にご講演を賜る機会を得ることができ、大変光栄に存じます。

1. Smart Eye Cameraで患者を救う 講演者:清水 映輔 株式会社OUI /慶應大)

 Smart Eye Camera は、スマートフォンを用い、いつでもどこでも
誰でも眼科診療ができる医療機器である。国内では、遠隔地の診療所で
も眼科診療が可能となり、早期発見・治療に貢献している。海外では、
医療リソースの乏しい地域でスクリーニングツールとして活用され、失
明予防に大きな役割を果たしている。
 ハードウェアの性能向上に加え、AI による画像解析技術の進歩によ
り、眼科疾患の早期発見早期治療に寄与、さらに、クラウドベースの画
像ファイリングシステムにより、経時的な病態変化の把握や多施設での
情報共有が容易になった。
 今後は、AI の精度向上と遠隔医療システムとの連携強化により、世
界中のどこでも高品質な眼科診療を受けられる環境の実現を目指す。
Smart Eye Camera は、眼科医療のグローバルな均てん化に向けた重
要なツールとなるだろう。
【利益相反公表基準】[ F] AMED[ P]

2. 診断・治療用アプリの眼科臨床応用に向けた研究開発 

講演者: 猪俣 武範 ( 順天大/順天大大学院医学研究科 AI インキュベーションファーム)

 眼科診療におけるデジタルヘルスは、眼疾患の早期発見と治療の効率化
を目的とした新しいアプローチである。デジタルヘルスには、遠隔診療、
モバイルヘルス、人工知能による解析等が含まれ、医療の質と効率を向上
させる。デジタルヘルスの中でもエビデンスに基づき診断・治療・予防等
への使用を目的とした製品はSaMD(Software as Medical Device)と
呼ばれる。SaMD の中でも医学的なエビデンスに基づき診断や治療介入
を提供するものがデジタルセラピューティックス(DTx)と定義される。
DTx の導入により、患者ごとに最適化された切れ目のない治療介入によ
る診療の質の向上や、患者や医療従事者の負担軽減が期待される。
 これまで演者はスマホアプリ型ドライアイ診断補助用プログラムや、
バーチャルリアリティを用いた小児弱視訓練用プログラム医療機器の研究
開発に取り組んできた。そこで本講演では、デジタルヘルスとプログラム
医療機器の現状と将来展望について概観し、眼科診療の革新における重要
性を論じる。
【利益相反公表基準】[ F] ジョンソンエンドジョンソン株式会社、小林製
薬株式会社、株式会社フコク、株式会社関電工
[E] InnoJin 株式会社、一般社団法人IoMT 学会
[C][ P]

3. 視覚障害者のICT活用とビジョンケア 講演者:三宅  琢(公益社団法人NEXT VISION)

 視覚障害者はかつてより移動障害を伴う情報障害者と表現されてきた。
私は眼科医、産業医という立場で視覚障害や発達障害のある人々が情報障
害に陥ることを予防し適切な合理的配慮を受けられるように、ICT 機器
を用いた情報支援を行ってきた。
 分野横断的な活動を通して困難さを抱える人々が医療的、社会的、心理
的な回復を得られる包括的な社会の実現には、適切な情報提供による情報
障害の軽減に加えて人々の出会いと社会へ接続する機会の提供が必要であ
ると実感している。
 ウェルビーイングな未来の実現には多様な人々が自分らしく生きていけ
る、誰も取り残さない社会システムの構築が必要だと言われている。本講
演ではICT 機器活用が有効であった事例と、人生100年時代における治
療を目指す医療と自律を目指すケアが両立する新しい医療のあり方や多様
な人々が共存する社会における医療機関の期待役割などを含め簡単に解説
したい。
【利益相反公表基準】 該当なし

展示機器のご紹介

株式会社トプコンメディカルジャパン

3 次元眼底像撮影装置DRI OCT Triton Plus Pro


視機能評価機imo vifa

株式会社ニデック

RS-1 Glauvas

興和株式会社

コーワ AP-7700

カールツァイスメディテック株式会社

シラスHD-OCT premium(モデル6000

株式会社ファインデックス

視線分析型視野計

ゲイズ アナライジング

ペリメーターGAP

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第23回眼科臨床機器研究会(2024年10月26日)

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