24回眼科臨床機器研究会

日時:20251129日(土)  14:0017:00

会場:横浜シンポジア

 

ジョイント開催:The 28th IRSJ2025

日眼専門医事業認定番号:12745

 

主催 眼科臨床機器研究会

会長 庄司 信行(北里大)

事務局長 飯田 嘉彦(北里大)

プログラム

1)近年の隅角検査機器                                  モデレーター/笠原 正行(北里大)

緑内障手術前後の隅角評価                                               芝  大介(慶應大)

CASIA2 Advanceの有用性                                              上野 勇太(筑波大)

SOLIX FullRangeの使用経験                                           後藤祐一朗(北里大)

 

2)画像鮮明化テクノロジーMIEr                  モデレーター/飯田 嘉彦(北里大)

MIErⓇの鮮明化:アルゴリズムとその応用                                                     

井上 宏一 (㈱ロジック・アンド・デザイン)

・画像鮮明化ソフトウェアMIErⓇを活用した糖尿病網膜症診断

                                                                      武内  潤(名古屋大附属病院)

MIErⓇ× Heads-Up Surgery ~白内障手術における画像鮮明化~

横関祐佳子(北里大)

3近視抑制の新時代 ~新しいアプローチと管理の実践~                                     

モデレーター/平澤 一法(北里大)

・近視進行メカニズムの分子細胞レベルでの解明を目指して      栗原 俊英(慶應大)

・眼科病院における近視進行抑制療法の管理と実践   髙橋 慎也(小沢眼科内科病院)

最新の検査技術を活用した近視管理と実践                松村沙衣子(東邦大・大森)

1)近年の隅角検査機器

                         モデレーター/笠原 正行(北里大)

 隅角検査は緑内障診療において重要な検査ですが、従来の隅角鏡による検査は侵襲的で、時間がかかり手技も煩雑なため、外来診療の合間で実施するには大きな負担となっていました。近年、OCTや隅角撮影機器の進歩により、非侵襲的かつ定量的な評価が可能となり、診療現場での有用性が高まっています。本セッションでは、芝大介先生にMIGSを中心に、周術期における隅角記録の現状と課題についてご講演いただきます。上野勇太先生からは、前眼部専用OCTであるCASIA2 Advanceを用いたスクリーニングや術後評価への応用について解説いただきます。後藤祐一朗先生には、角膜から脈絡膜までを広角かつ高画質で撮像可能なSOLIX Essentialを活用し、隅角評価を行った使用経験についてご紹介いただきます。本講演が明日からのより良い緑内障診療につながることを期待しております。

◆ 緑内障手術前後の隅角評価

講演者:芝 大介 (慶應義塾大学医学部眼科学教室)

2000  慶應義塾大学医学部卒業

2000  慶應義塾大学病院 眼科研修医

2002  国立成育医療センター第2専門診療部 眼科レジデント

2003  静岡赤十字病院眼科

2004  大阪厚生年金病院眼科 緑内障フェロー

2006  慶應義塾大学医学部眼科 助教

2023  慶應義塾大学医学部眼科 専任講師

緑内障診療において隅角検査は診断時には多用こそされ、個々の患者単位で考えれば、ルーチンに継続して行われるとは言いがたい検査であった。ところが近年のMicro-invasive glaucoma surgeries (MIGS)の登場と普及により、手術前後の変化や、その後の経時変化を記録、比較する必要が出現した。もともと淡い色調の隅角所見の観察は比較的難しく、細隙灯の撮影機能による記録はさらに難しい。上下隅角は細隙灯顕微鏡の捜査は容易であるものの、左右は細隙灯顕微鏡の捜査が非常に煩雑になる。また、鏡像で観察される隅角を正確に記載・再現する事は元々難易度が高い。そのうえ、更にそれを撮影するとなると更なる困難が伴う。GS-1ゴニオスコープ(ニデック社)は接触式ではあるものの、視能訓練士の捜査で、充分に露出・フォーカスが調整された隅角静止画の取得をルーチン検査のレベルまで可能にした。しかし、保険収載されず広く普及する機会にめぐまれていない。本講演では、筆者の経験を元に周術期を中心に隅角記録の現状と課題について講演させていただく。

 

利益相反公表基準】該当なし

CASIA2 Advanceの有用性

講演者:上野 勇太(筑波大学)

 2007年 筑波大学医学類 卒業

 2009年 筑波大学眼科

 2015年 筑波大学眼科 病院講師

 2018年 筑波大学眼科 講師

前眼部OCTは赤外線を用いて非侵襲的に混濁組織の形態評価を行うことができ、隅角検査装置として高い汎用性を持つ。CASIAシリーズは国内初の前眼部専用OCTとして開発され、国内臨床医のニーズを反映しながらCASIA2CASIA2 Advanceへと進化を重ね、各種解析ソフトウェアが充実している。隅角検査においてはSTAR Analysisというアプリケーションが搭載され、注目されている。これは狭隅角/閉塞隅角のリスクを分かりやすく表示するようNarrow Angle Indexという新たな指標が算出されるようになったため、医師の診察前のスクリーニング検査としてユーザーフレンドリーな仕様となっている。また、近年増加している緑内障インプラント手術において、術後にデバイス固定状況を評価する必要性が高まっているが、このような場面でもCASIAシリーズの3次元OCTの特長を活かした評価が可能である。本講演では、CASIAシリーズを用いた自験例のデータを示しながら、その汎用性について解説する。

 

【利益相反公表基準】

P:あり

SOLIX FullRangeの使用経験

講演者:後藤 祐一朗(北里大学)

2019年 北里大学医学部卒業

2021年 北里大学医学部眼科学教室入局

2023年 海老名総合病院

2024年 北里大学大学院医療系研究科博士課程~現在に至る

近年の眼科診療において、光干渉断層計(OCT)は正確な診断や治療効果判定を行う上で必要不可欠な機器である。2024年に発売されたSOLIX FullRange(タカギセイコー)は、角膜から脈絡膜までを広角かつ高画質で撮像することが可能であり、アンギオグラフィーも搭載した多機能OCTとして期待されている。強度近視眼でも周辺までの網膜形態の評価が可能であることに加え、アタッチメントの装着により、既存の前眼部OCTと同様に隅角形状の評価を行うこともできる。また、非常に高画質であるため、シュレム管を観察できる症例が多く、近年、普及しているCanal-Based-Minimary invasive glaucoma surgery CB-MIGS)の術前評価に有用である可能性が期待される。本講演では、網膜疾患、ならびに狭隅角眼、CB-MIGS前後の隅角形態の評価を中心に、SOLIXの使用経験を紹介したい。

2)画像鮮明化テクノロジーMIEr®

モデレーター/飯田 嘉彦(北里大)

医療用画像鮮明化技術MIEr®は、診断画像や術野の視認性向上を目的に開発され、臨床現場の多様な場面で応用が広がっている。本セッションでは、まず井上宏一先生(ロジック・アンド・デザイン)より、MIEr®独自のアルゴリズムとシステム構成、さらに臨床応用の現状について解説いただく。続いて武内潤先生(名古屋大)からは、広角眼底写真への適用により病変検出能が高まり、糖尿病網膜症の重症度判定の精度が向上する事例をご紹介いただく。さらに横関祐佳子先生(北里大)には、Heads-up Surgeryにおける白内障手術映像を供覧いただき、術中視認性の改善や操作精度向上につながる有用性を示していただく。基礎から臨床および手術応用までを通して、眼科領域におけるMIEr®の可能性を多角的に議論する機会としたい。

MIEr®の鮮明化:アルゴリズムとその応用

講演者:井上 宏一(株式会社ロジック・アンド・デザイン R&D事業部 製品開発本部長)

1988年 東京電機大学 卒業

1988年 日本デジタルイクイップメント(日本DEC) 入社

1997年 アラガン社(現ジョンソン・エンド・ジョンソン)

2022年 株式会社ロジック・アンド・デザイン社 入社

2024年より同社R&D事業部にて製品開発を担当、現在に至る

ロジック・アンド・デザイン社が独自開発した医療用画像鮮明化技術「MIEr®(ミエル)」は、診断画像および術野の視認性向上を目的として、独自開発のアルゴリズムにより低コントラストや明暗差の大きい画像のダイナミックレンジを効果的に改善します。本技術は、外来診療における患者説明、術前検査、3D手術映像、術後の検査画像など、治療の各ステージにおいて応用が進んでおり、臨床現場での視認性向上と医療従事者の意思決定支援に貢献しています。本発表では、MIEr®のソフトウェアおよびハードウェア構成の概要、アルゴリズムの詳細、および臨床応用事例について紹介します。
【利益相反公表基準】該当あり

◆ 画像鮮明化ソフトウェアMIEr ®を活用した糖尿病網膜症診断

講演者:武内 潤(名古屋大学医学部附属病院 眼科)

2013年 名古屋大学医学部 卒業

2019年 協立総合病院 眼科部長

2021年 名古屋大学医学部附属病院 眼科 病院助教

2023年 杏林アイセンター 助教・網膜硝子体フェロー

2025年 名古屋大学医学部附属病院 眼科 病院助教

現在に至る

医療用画像鮮明化ソフトウェアであるSoft-MIEr®Logic & Design)は眼科手術時の術野視認性を向上させることが可能であり、実際に多くの活用事例がある。一方でこの画像鮮明化アルゴリズムは眼底写真やOCT画像などの静止画像にも応用することが可能である。糖尿病網膜症の重症度を正確に評価して治療方針を決定することは、長期的な視機能維持の観点から非常に重要である。糖尿病網膜症の評価には広角眼底写真が有用であるが、網膜専門医間であっても重症度判定に多くのばらつきが生じてしまうことが指摘されている。そこで、広角眼底写真にSoft-MIEr®を適用したところ、糖尿病網膜症の重症度評価に重要な網膜内出血や網膜内細小血管異常などの病変検出能が向上し、より正確な診断が可能となった。本講演では画像鮮明化技術の活用例として、糖尿病網膜症の重症度判定における事例を示し、その有用性を概説する。

 

【利益相反公表基準】該当なし

MIEr®×Heads-Up Surgery ~白内障手術における画像鮮明化~

講演者:横関 祐佳子 (北里大)

20143月 北里大学医学部 卒業

20163月 北里大学病院 初期臨床研修終了

20164月 北里大学病院眼科 入局

20236月 北里大学医学部眼科学 助教 現在に至る

MIEr®は映像の視認性をリアルタイムで向上させる画像鮮明化技術として注目されている。今回、Heads-up SurgeryMIEr®を組み込み、白内障手術における有用性を検討した。

MIEr®の登場以降、デジタル顕微鏡における画像処理技術は各社で改良が進み、術中映像の解像度やコントラストは現在すでに高水準にあるが、それでもMIEr®を併用することで、核や皮質の境界、後嚢の透明な構造がより鮮明に視認され、術者の操作精度や安心感の向上につながる場面もみられた。MIEr®による見え方には術者ごとの好みの差もあるが、Heads-up Surgeryの有用性や活用法を含めて、実際の白内障手術映像を供覧しながら、その使用感と併用効果について報告する。

 

【利益相反公表基準】 該当なし

2)近視抑制の新時代 ~新しいアプローチと管理の実践~ 

モデレーター/平澤 一法(北里大)

近年、小児の近視は世界的に急増し、その進行抑制は眼科領域における最重要課題の一つとなっております。近視の分子細胞レベルでのメカニズム解明から、日常臨床における多様な治療選択肢の導入、さらに最新の検査機器やアプリを活用した管理まで、研究と臨床の両面で大きな進展がみられます。本会では、基礎研究の立場から近視進行に関わる光・分子機構を解明されてきた栗原先生、臨床現場における多職種連携と実践的管理を推進されている髙橋先生、そして最新の検査技術とデジタルツールを活用した近視管理を展開されている松村先生にご講演を賜ります。近視抑制の基礎から臨床応用までを包括的に学べる貴重な機会であり、皆様の日常診療に直結する示唆を得られるものと確信しております。

◆近視進行メカニズムの分子細胞レベルでの解明を目指して

講演者:栗原 俊英(慶應義塾大学医学部眼科学教室)

200104月 慶應義塾大学病院 研修医

200309月 慶應義塾大学病院 専修医

200912月 米国スクリプス研究所研究員

201307  慶應義塾大学医学部助教

201504月 慶應義塾大学医学部特任講師

201608月 文部科学省学術調査官(兼任)

201704月 慶應義塾大学医学部 特任准教授

202004  慶應義塾大学医学部 専任講師

202210月 慶應義塾大学医学部 准教授 (~現在まで)

近年、東アジアを中心に近視人口が急増しており、東京都内の調査では中学生の近視有病率が94.9%、強度近視は11.3%に達している。近視は眼疾患のリスクを高めるため、その進行抑制が重要である。現在、オルソケラトロジーや低濃度アトロピン点眼などが治療に用いられているが、作用機序は不明である。疫学調査により、屋外活動時間の減少が近視進行に関係することが示され、我々は屋外光に含まれるバイオレットライト(360400nm)が近視進行を抑えることを臨床・動物実験で確認し、その作用に非視覚受容体OPN5と転写因子EGR1が関与することを明らかにした。また、天然カロテノイドのクロセチンや、脈絡膜血流を保つブナゾシン、さらには強膜での小胞体ストレスが近視進行に関与することも示された。本講演では、これらの基礎・臨床研究成果を踏まえて近視治療の未来を展望する。
【利益相反公表基準】該当あり

◆ 画眼科病院における近視進行抑制療法の管理と実践

講演者:高橋 慎也(小沢眼科内科病院)

2007年 大分視能訓練士専門学校卒業 (視能訓練士国家資格取得)

2007年 林眼科病院 

2016年 九州保健福祉大学大学院修士課程 修了 (保健科学)取得

2019年 出田眼科病院 

2020年 小沢眼科内科病院

2021年 小沢眼科内科病院 視能訓練科 副主任

2022年 小沢眼科内科病院 視能訓練科 主任

2025年 小沢眼科内科病院 視能訓練部 部長 現在に至る

近年、小児の近視進行は世界的な課題となり、その抑制療法は急速な進歩と多様化を見せている。当院においても、低濃度アトロピン点眼、オルソケラトロジー、レッドライト治療、多焦点コンタクトレンズなど、国内外で効果が報告されている複数の治療法を積極的に導入し、患者個々の状況に応じた選択肢を提供している。

これらの治療法は、それぞれに特徴や注意点が異なり、効果を最大化するためには継続的な管理が極めて重要となる。そのためには、医師による的確な診断と治療方針の決定、そして視能訓練士による専門的な検査、患者・保護者への丁寧な説明と指導といった、職種間の密な連携が不可欠である。

本講演では、当院で実践している医師と視能訓練士の連携体制に焦点を当てる。実際の症例を供覧しながら、各治療法の導入から管理、フォローアップに至る具体的なプロセスを詳述し、効果的な近視進行抑制治療の実践について皆様と知見を共有したい。

 

【利益相反公表基準】該当なし

◆ 最新の検査技術を活用した近視管理と実践

講演者:松村 沙衣子 (東邦大・大森)

2002年 東邦大学医療センター大森病院入局

2004年 東邦大学大学院博士課程入学

2008年 東邦大学医療センター大森病院助教

2008年 済生会横浜市東部病院眼科医長

2017年 シンガポール国立眼センタ― クリニカルリサーチフェロー

2020年 東邦大学医療センター大森病院助教

2023年 東邦大学医療センター大森病院講師

小児近視の長期管理には、非侵襲的かつ再現性の高い眼軸長測定を中心とした効率的、かつ正確な評価が重要である。近年では、小児近視に特化した非接触型光学式眼軸計測機器の普及により、多忙な外来でも簡便な測定と高度な解析が可能となった。近視進行評価としては、対象者の年間眼軸長伸長率を、同年齢の正視小児の年間平均眼軸長伸長率と比較する年齢一致型近視制御(Age-matched myopia controlAMMC)やパーセンタイル曲線を活用した評価手法が用いられている。その中でも日本人データベースを使用したOA-2000Axial ManagerMyopia Masterの屈折分析モジュール(GRAS)などは、治療方針の視覚化と保護者の理解促進に寄与している。また、筆者がメニコン社と共同開発した近視管理アプリ「ミオログ」は、日本人小児のデータに基づく眼軸長評価を簡便に記録・可視化でき、治療継続への動機付けに有用である。本講演では、これらの最新技術を用いた近視評価と実践的活用法について紹介したい。

 

【利益相反公表基準】:【RⅡ】 Menicon Cooper VisionNikonWelch Allyn、参天製薬、千寿製薬、SEED JINS Rohto製薬 【P】 Myolog

 

展示機器のご紹介

株式会社 トーメーコーポレーション

前眼部OCT CASIA 2 Advance

株式会社タカギセイコー
眼撮影装置SOLIX

千寿製薬株式会社
Soft-MIEr(ソフト・ミエル)

MIEr-Red(ミエル・レッド)

株式会社ニコンソリューションズ
TowardPi 社製400kHz Full-Range SS-OCT BMizar

OCULUS 社製眼軸長計測機能付レフラクト・ケラトメータ Myopia Master

株式会社ニデック
光干渉式眼軸長測定装置 AL-Scan M

マイオピアビューワー MV-1(オプション)

▲ページトップへ

Powered by Flips

第24回眼科臨床機器研究会(2025年11月29日)

編 集